2026年8月28日

Looker の会話分析で LookML の synonyms を試す


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Looker の会話分析 (Conversational Analytics) で「期待したフィールドを拾ってくれず、なかなか正しい回答が得られない」といった経験はありませんか?自然言語で質問できるのは便利ですが、社内特有の言い回しや業界用語で質問すると、LLM が意図したフィールドにたどり着けないことがあります。

そんなときにぜひ試していただきたいのが、LookML の synonyms パラメータです。

本記事では、2026 年 8 月 24 日時点での検証をもとに、synonyms の概要、LookML での定義方法、そして会話分析における回答精度の変化についてご紹介します。なお、今後のアップデートにより、機能や操作方法、構築手順などが変更される可能性がある点にご留意ください。

synonyms とは

synonyms は、LookML のフィールドに同義語 (別名) を定義するためのパラメータです。文字列または文字列の配列で指定します。synonyms を定義することで、画面上に表示されるフィールド名とは異なる「別の呼び方」を Looker に認識させることができます。

dimension: customer_password {
type: string
sql: ${TABLE}.customer_password ;;
synonyms: ["password", "パスワード"]
}

対応しているフィールドタイプは次のとおりです。

  • ディメンション (Dimension)
  • ディメンショングループ (Dimension group)
  • メジャー (Measure)
  • フィルター (Filter)
  • パラメータ (Parameter)

 

なお、synonyms に指定した値は Looker の Explore には表示されません。Looker API 経由で LookML モデルの情報を取得した際に、フィールドのメタデータの一部として取得できます。会話分析は、このメタデータを参照して回答を生成するため、あらかじめ synonyms を定義しておくことで、社内特有の言い回しや表記ゆれを正しく解釈し、意図したフィールドへマッピングできるようになります。

パラメータの詳細な仕様は synonyms  |  Looker  |  Google Cloud Documentation をご確認ください。

 

会話分析で synonyms を試す

今回は、BigQuery の公開データセット「theLook eCommerce」をもとに LookML を用意し、synonyms によって会話分析の回答精度がどう変化するかを見ていきます。theLook eCommerce は、架空の EC サイトにおける注文履歴、商品データ、顧客情報などが含まれた公開データセットです。

Use Legacy LookML Runtime の無効化

synonyms を使うには、レガシー機能の「Use Legacy LookML Runtime」を無効にしておく必要があります。有効なままだと synonyms が認識されないため、Looker の「管理」>「全般」>「レガシー機能」から事前に確認・無効化しておきましょう。

 

一般的な用語で質問する

まずは、一般的な用語を用いて質問します。

集客チャネル別のユーザー数を教えて

結果として、synonyms を設定していない状態であっても、会話分析では「集客チャネル」という言葉を traffic_source ディメンションにマッピングして集計結果を返してくれました。

このように、一般的な用語であれば、synonyms を定義しなくても LLM が意図を自動で解釈して回答してくれます。

 

業界用語で質問する

次に、業界用語を用いて質問します。アパレルや小売の現場では、商品の仕入値や原価を「下代 (げだい)」と呼ぶことがあります。products ビューにある cost ディメンションに対して「下代」という言葉でマッピングできるか試します。

下代の平均を教えて

画面には「『下代』(卸売価格や原価) に直接対応する項目が見つかりませんでした」と表示され、どのフィールドを使えば良いかをユーザーに聞き返すという動きになりました。候補として cost ディメンションが表示されているものの、自動的にマッピングはされませんでした。

そこで products ビューの cost ディメンションに synonyms を追加します。

dimension: cost {
type: number
sql: ${TABLE}.cost ;;
synonyms: ["下代"]
}

synonyms を追加後、先ほどとまったく同じ質問をしてみます。

下代の平均を教えて

今度は cost ディメンションを「下代」として解釈し、集計結果を返してくれました。

会話分析は、質問文と LookML のメタデータを照合して回答を生成します。今回だと、synonyms に「下代」を指定したことで cost = 下代という情報がメタデータに追加され、正しいフィールドにマッピングできるようになったと考えられます。

synonyms を書くときのコツ
  • ユーザーが実際に使う言葉を指定する: 社内の通称・業界用語・英語表記・略語など、現場で実際に使われる言葉を指定します。
  • 曖昧な言葉は無理に指定しない: 複数のフィールドに対して似たような言葉を指定すると、フィールドの誤選択に繋がるため、明確で一意に識別できる言葉を選びます。
  • 役割を明確に切り分ける: 正式名称は label、詳細な説明は description、フィールドの別名や表記ゆれは synonyms といった形で使い分けるとメンテナンスがしやすくなります。

 

まとめ

本記事では、LookML の synonyms パラメータを試し、Looker の会話分析の回答精度がどう変化するかご紹介しました。

社内特有の言い回しや業界用語であっても、synonyms を定義することによって、会話分析が意図を正しく解釈できるようになります。現場独自の略称や通称を指定しておけば、現場の方でも自然言語でスムーズにデータを分析できます。

フィールドを増やすことなくメタデータを補うだけで、会話分析を育てていけるのは大きなメリットです。会話分析で回答精度にお悩みの際は、ぜひ synonyms を試してみてください。

 

参考資料

 


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