2023年9月5日

【Google Cloud】Looker Studio × Looker Studio Pro × Looker を徹底比較!機能・選び方を解説


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みなさま、こんにちは。Google Cloud研究開発チームです。

Google Cloud Next '22において、データポータルは Looker に統合され、新たなサービスである Looker Studio に生まれ変わりました。
更に、Looker Studio の有償版として Looker Studio Pro も新たに誕生し、ビジネスニーズに応じて様々なBIツールを選択できるようになりました。

しかしながら、Looker と名の付くBIツールが細分化されたことにより、BIツールの選定に頭を悩ませている方は多いと思います。

本記事ではそんな方々に向けて、Looker Studio、Looker Studio Pro、Looker、それぞれの概要、メリデメ、機能等を徹底比較しました!
みなさまのBIツールの選定に少しでも役立つ情報を提供できれば幸いです!

Looker Studio

概要

Looker Studio は、Google が提供する無料のBIツールです。
アドホックな現状分析、可視化を目的とした製品です。
豊富なデータソースにアクセスでき、コーディングやソフトウェアを使わずに、あらゆる種類のデータを即座に接続できます。
ドラッグ&ドロップ形式のシンプルなオブジェクトを使用し、直感的で使いやすいように設計されています。

メリット

◆豊富なデータソース

BigQuery、Amazon Redshift、MySQL、Google Sheets…etcといったGoogleのサービスはもちろんのこと、
別パブリッククラウドのデータソースにも接続することができ、接続可能なデータソースはなんと800種類以上にも及びます。
また、ローカルファイル(CSVなど)をアップロードして分析することができるため、データソースとローカルデータをマージして分析することが可能です。

 

◆バージョン管理

以下のようにレポートのバージョンを管理することが可能です。

 

◆レポート埋め込み

HTML の iframe タグをサポートする任意のサイトまたはアプリに Looker Studio レポートを埋め込むことができます。
また、新しい Google サイトまたは oEmbed フォーマットを使用しているサイトへの埋め込みも可能です。
※埋め込みの例はこちら

この機能により、社内全体や世界中の人々にデータストーリーを伝えやすくなります。

 

◆直感的なUI操作

Looker Studio は直感的に使いやすいように設計されています。
基本的にはドラッグ&ドロップや数回クリックするだけで、グラフや表を作成でき、
初心者でも簡単にデータの視覚化や分析を行うことができます。

 

◆安価

ライセンス料金(初期費用、ランニングコスト)は発生しません。
※接続するデータソースによっては、データベース利用料が発生する可能性があります。(BigQuery をデータソースとする場合、クエリ量に応じた課金が発生します)

デメリット

◆組織/チーム間での権限管理

オーナー権限の設定先は1ユーザーに限られています。
そのためオーナーユーザーの退職時には他ユーザーへ権限を譲渡する必要があります。

 

◆組織/チーム間での指標の統一

Looker Studio では、データの指標を各自で定義するため、指標がぶれる可能性があります。
例えば、売上高という指標を取り扱う場合、以下のように指標の定義がぶれることによって、
どのユーザーのレポートが正しいのかわからなくなります。
こちらのデメリットを補う機能はないため、指標の定義を徹底する運用ルールを整備する必要があります。

Looker Studio Pro

概要

Looker Studio Pro は Looker Studio の有料バージョンです。
Looker Studio Pro では、Looker Studio の全機能に加え、
コンテンツへのアクセスを幅広く管理する機能や、Google Cloud カスタマーケアの柔軟なサポートサービスをご利用いただけます。

メリット

◆組織/チーム間での権限管理

Looker Studio Pro で作成されたレポートのオーナーは組織であり、デフォルトでは Google Cloud プロジェクトを通じて管理されます。
そのため従業員が退職するたびにオーナー権限を移転する必要がありません。
また、チームワークスペース機能を使用することで、レポートへのアクセスを一括管理することが可能です。
例えば、新入社員全員に50個のレポートへのアクセス権を一度に付与したい場合や、組織内のすべてのレポートに対する管理者権限を取得したい場合には、Looker Studio Pro を使用すれば数分でこれらを行うことができます。

 

◆サポート

既存の Google Cloud カスタマーケアチャネルを通じてサポートを受けることができます。

デメリット

◆コスト

Looker Studio Pro は有償サービスです。
料金についてはまだ詳細が公開されていないため、Google Cloud のセールススペシャリストへの問い合わせが必要ですが、ユーザーあたりの課金体系となっています。

 

◆組織/チーム間での指標の統一

Looker Studio と同様に、データの指標を各自で定義するため、指標がぶれる可能性があります。

Looker

概要

Looker とは、従来のBIツールの枠を超え、データガバナンスに優れた次世代型データプラットフォームです。
データドリブンなワークフローの実現を目的とした製品です。
LookML と呼ばれる独自のモデリング言語により、組織で定義された指標を利用することが可能です。
LookML により、分析結果やデータの一貫性を担保し、ガバナンスを強化することができます。

メリット

◆データベースに直接接続

Looker はデータベースに直接接続するため、データのアップロードは不要です。
※パフォーマンスを最適化するためには、BigQuery 等の DWH へ接続することが推奨されています。

 

◆LookML によるガバナンス強化

Looker は LookML によって、データのモデリングを組織で一元管理することができます。
LookML は、セマンティックデータのモデルを作成するために利用し、
SQL データベース内のディメンション、集計、計算、データの関係を記述できます。
また、LookML は Git で管理することができます。
Looker Studio では、指標がぶれるというデメリットがあると記載しましたが、
LookML では指標を統一することができるため、すべてのユーザーが同じ分析結果を利用することができます。

 

◆アラート機能によるイベント通知

データが指定した条件を満たした場合にアラート通知を行うことが可能です。
例えば Web サイトのアクセス数が急上昇した場合や、売上額が目標額を達成できた場合、
受け取りたいイベントに応じて、アラート機能による通知を受け取ることが可能です。

通知方法および頻度は以下から選択することが可能です。
・通知方法:メール、Slack
・頻度:15分単位(最短)、毎時間、毎日、毎週、毎月

 

◆豊富なスケジュール配信

以下の方法およびファイル形式でダッシュボードをスケジュール配信することが可能です。
・配信方法:メール、Webhook、Amazon S3、SFTPサーバ、Slack
・ファイル形式:PDF、CSV、ZIP、PNG

スケジュール配信機能を使うことにより、Looker に直接アクセスすることができないユーザーにもダッシュボード※1を共有することが可能です。
また、定期的な会議かつ利用するレポートが決まっている場合、上記機能で会議前に参加者にレポートを共有することで、これまで手動で行っていた作業を自動化することも可能です。

(※1) Looker Studio (Pro) のレポートと同義です

 

◆柔軟なセキュリティおよびアクセス制御

利用用途や状況に合わせて、柔軟にアクセス権を設定することが可能です。
Looker でアクセス管理できる内容は以下です。

・コンテンツアクセス
ユーザ/グループ単位(だれが)、かつフォルダ※2、ダッシュボード、Look※3単位(どのコンテンツ)でアクセス権を設定することが可能です。

(※2) ダッシュボード、Look を複数管理するために利用する、上位階層の概念
(※3) ダッシュボード上に配置する表やグラフ(Look を複数配置し、1つにまとめたものがダッシュボード)

・データアクセス
アクセスフィルタを利用することで、ユーザ/グループに表示を許可するデータを制御することが可能です。
例えば、営業グループのユーザーには営業データのみ表示するといった制限が可能です。

・機能アクセス
データの表示、LookML (モデリング言語)の変更、Looker の管理など、ユーザーが Looker で行える操作を制御することが可能です。
例えば、開発者(またはデータアナリティクス)のみに LookML を変更できる権限を付与することで、
Looker 利用者が LookML を変更してしまうという誤操作を防ぐことができます。

 

◆外出先での利用(Lookerモバイルアプリ)

Looker モバイルアプリでは、Look やダッシュボードへのアクセス/表示、および共有することが可能です。
※Android、iOSで利用することが可能です

 

◆予測データの可視化

現在のデータ結果から、ARIMA アルゴリズムを利用し、予測データを可視化することが可能です。
可視化操作もクリック数回で済むため、簡単に実装することができます。
※精度については、入力データによって異なるため、本番環境で利用する場合は入力データの精査が必要です

 

デメリット

◆利用目的のイメージを固める必要がある

Looker の製品目的は、データドリブンなワークフローを実現することです。
そのため、利用目的をイメージできずに利用を開始すると、以下のような状況に陥ります。
・モデリングの修正が何度も発生し、疲弊して使うのをやめる
・データの可視化による効率化はできたが、データドリブンなワークフローへはつながらない等

 

◆ローカルデータのアップロードが不可

Looker はローカルファイルをアップロードすることができません。
例えば、個人が所有するデータと組織のデータをマージして一時的に分析・可視化することはできません。

製品比較

機能性、使いやすさ、価格の3つの分類で製品を比較します。

◆機能性


Looker Studio

Looker Studio Pro

Looker

データソース

800種類以上

800種類以上

60種類以上

モデリング

・レポート毎に定義

・レポート毎に定義

LookerMLで集中管理

バージョン管理

・自動もしくは手動でレポートのバージョン管理が可能

・自動もしくは手動でレポートのバージョン管理が可能

Gitでバージョン管理が可能

アクセス制御

・レポート単位での

アクセス制御が可能

・レポート単位での

アクセス制御が可能

・レポート、データセット、

テーブル、行、列単位での

アクセス設定が可能

管理

×

・オーナーロールを持つ

1名で管理

Google Cloudプロジェクトと

リンクすることで組織で一元管理

・ユーザー・グループを作成し、

組織で一元管理

レポート共有

※ダウンロードした

レポートの共有および

スケジュール配信による

共有は除外

・制限付き(権限がある人のみ)限定公開(リンクを知る人のみ)一般公開が可能

・サイトへの埋め込みも可能

・制限付き(権限がある人のみ)限定公開(リンクを知る人のみ)一般公開が可能

・サイトへの埋め込みも可能

・一般公開、限定公開(権限があるユーザーのみ表示)が可能

スケジュール配信

・メールでの

スケジュール配信が可能

※制限事項あり

・メールでの

スケジュール配信が可能

※制限事項あり

・メール、Webhook

S3SFTPSlack

スケジュール配信が可能

アラート

×

×

※開発中とのこと

・最短15分単位で通知可能

データ予測

×

×

・ARIMA アルゴリズムでの

予測が可能

モバイルアプリ

×

×

AndroidiOSで利用可能

SLA

×

 

◆使いやすさ

Looker Studio

Looker Studio Pro

Looker

ドキュメント

・日本語ドキュメント有

・日本語ドキュメント有

※一部英語のみ

・日本語ドキュメント有

※一部動画は英語のみ

インターネット上の

情報量

・非常に多い

Proの情報は少ないが、

Looker Studioの情報で

代替可能

×

・少ない

利用開始までの

リードタイム

・すぐに利用可能

・個社ごとに異なる(要問合せ)

・個社ごとに異なる(要問合せ)

技術サポート

×

・なし

・Cloud カスタマーケアの

サポートを利用可能

・「chat」「メール」での

問い合わせ

※日本語にも対応

専門性

SQLの知識不要

・サービス用語の理解は必要

SQLの知識不要

・サービス用語の理解は必要

SQLの知識不要

LookerMLの知識が必要

 

 

◆価格

Looker Studio

Looker Studio Pro

Looker

初期費用

・初期費用不要

・初期費用不要

×

・個社ごとに御見積

(要問合せ)

ランニングコスト

Looker Studio自体は無料

※データソースによっては課金が

発生する(BigQueryはクエリ量に応じた課金となる)

・有料

(ユーザーあたりの課金)

×

・個社ごとに御見積

(要問合せ)

製品の選定基準

製品の概要、メリットデメリット、製品比較を記載しました。
結局どの製品を選定すれば良いのか?という方に向けて、カンタンではありますが、製品の選定基準を以下の表にしました。

 

サービス

選定基準

Looker Studio

・これからデータ分析を開始する

・データを可視化することが目的

・アドホック(手っ取り早く、一時的)に分析したい

・分析結果をWebサイトに埋め込みたい

・安価にデータ分析を行いたい

・利用者が少数

Looker Studio Pro

Looker Studioでは物足りない

・チーム/組織間でコラボレーションしたい

SLA、またはサポーターへの問い合わせ窓口を確保したい

Looker

・データドリブンなワークフローを実現したい

・会社/組織全体で指標を定義し、データのガバナンスを強化したい

・堅牢なデータアクセス権限を設定したい

SLA、またはサポーターへの問い合わせ窓口を確保したい

・指定した条件(特定の値、変化率等)でアラート通知を受け取りたい

・外出先等でモバイルアプリからもデータ分析したい

Looker StudioLooker Studio Proでは物足りない

まとめ

本記事では、Looker Studio と Looker Studio Pro、Looker について詳しく解説しました。
Looker Studio は無料のBIツールであり、直感的な操作や豊富なデータソースにアクセスすることができます。一方、Looker Studio Pro は有料のサービスであり、組織やチーム間での権限管理や柔軟なサポートサービスが提供されます。
さらに、Looker は次世代型のデータプラットフォームであり、データのガバナンスやワークフローの最適化に優れています。

データドリブンな意思決定を円滑に進めるためには、BIツールの選定は非常に重要です。
ぜひ、本記事の情報を活用して、BIツールの選定に役立ててください!
その他にも Looker 製品に関する記事をいくつか投稿しておりますので、関連記事欄からご参照いただけますと幸いです。

また、今回は触れることができませんでしたが、Looker Modeler と呼ばれる、Looker の最強機能であった LookML を単体で利用できるサービスが2023年3月にリリースされました。
Looker Modeler とLooker Studio (Pro) を組み合わせることで、Looker Studio (Pro) の弱点であった指標の統一も可能になります。
Looker Modelerに興味がある方はこちらをご参照ください。

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2023年9月5日 【Google Cloud】Looker Studio × Looker Studio Pro × Looker を徹底比較!機能・選び方を解説

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