2025年7月2日

Looker Studio ProのGemini in Looker(スライド自動生成、数式アシスタント)を使ってみる


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こんにちは。Google Cloud 研究開発チームです。

 

Looker StudioPro)をご利用の皆様、Looker Studio Proには「Gemini」を利用した便利なサービスがあることをご存知でしょうか?

Looker Studio Pro(有償版)は、Looker Studio(無償版)で利用できるサービスに加え、レポートの自動配信やLooker Studioモバイルアプリの利用など、様々なメリットを提供しています。

今回はその中でも、レポート開発・利用の効率化を叶えるサービス「Gemini in Looker」に焦点を当ててご紹介します。

実際の活用シーンをイメージし、具体的な操作方法から所感まで紹介していきます。

【参考】Looker Studio Pro のメリット

Gemini in Looker

Gemini in Looker Looker Studio Proで利用可能なサービスの一つで、以下の3つのを機能を提供しています。

・スライドの自動生成

スライドの自動生成はレポート利用者向けの機能です。作成したレポートの内容を自動でスライド化してくれます。

・数式アシスタント

数式アシスタントは開発者向けの機能です。フィールド追加に使用する数式を自動生成してくれます。

Conversational Analytics

Conversational Analyticsは利用者向けの機能です。日本語による対話形式でグラフやチャートの作成ができます。

その中で本記事では「数式アシスタント」と「スライドの自動生成」の機能に絞ってご紹介をします。

Gemini in Looker 現状プレビュー版としての提供であることをご留意ください。最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。

【参考】Gemini in Looker の概要

使用するデータとレポート

今回検証には、ECサイトから取得したGA4データを使用します。

また、レポートにはLooker Studioが提供しているGA4テンプレートを活用します。

GA4テンプレートには、訪問者の日別推移“Active Users By Day”や、

訪問者が利用するデバイスカテゴリ“Active Users By Device Category”のグラフなどがあらかじめ用意されおり、データソースを選択するだけで、主要な指標を可視化することができます。

【参考】テンプレートからレポートを作成する

スライドの自動生成

スライドの自動生成は、レポートを基にしたスライドを自動生成してくれる機能です。

チャート(グラフや表)を選択して実行することで、Geminiが自動でスライドを作成してくれます。

スライドには、選択したチャートと、チャートから読み取れる内容がサマリとして記載されます。

利用者がレポートの内容を第三者に向けて報告するシーンにおいて活用できる機能です。

実際に以下のシーンを想定して「スライド自動生成」を利用してみましょう。

ECサイトの訪問者数の推移を上司に報告する。

 

利用手順

レポートの編集画面右にある「Gemini」>「Generate Slide」の順に押下します。

All Visualization(全チャートのスライド生成)」か「Let me choose(選択したチャートのスライド生成)」を選べるので、“Let me choose”を選択します。

“Active Users By Day”チャートを選択し「Done」を押下します。

少し待つと、Geminiがスライドを生成してくれます。「Gemerate Slides」を押下して、スライドを出力します。

以下3ページのスライドが生成されました。

・表紙

・自動生成されたスライド

Thank youスライド

現時点でサマリの記載は英語のみの対応となりますが、今回はサマリ内容に絞ってみていきたいと思います。

まず、サマリを見ずにグラフから読み取れる内容として、以下のようなことが考えられそうです。

  • 全体的に訪問者数が下降気味
  • 訪問者数は1Mあたりを推移している
  • 15~6日にかけて訪問者数が大きく落ち込んでいる
  • 正月時期なので初売り等のイベントが終わったタイミングで訪問者数が減少していそう
  • 正月休みが15()までであったことも影響していそう
  • イベントのために出した広告からの流入がありそう

 

続いて、実際にGeminiが生成したサマリ(翻訳)を見ていきましょう。

  • 全体として、2025年1月1日から2025年1月14日の間にユニークユーザーは31.56%減少した。
  • 2025年1月5日から2025年1月6日にかけてのユニークユーザー数の減少が最も顕著で、22.8%の減少。
  • 最もユニークユーザー数が多かったのは2025年1月1日(123万人)で、最も少なかったのは2025年1月14日(841,549人)であった。

サマリの傾向

  • 全体的な傾向をとらえてくれる
  • 期間や変動傾向を具体的な数字で表記してくれる
  • チャート内の大きな変動を検出してくれる

 

所感

正確な数値をと共にグラフの傾向をサマリしてくれる点が便利だと感じました。

人手の場合、ぱっと見の傾向までは把握できるものの、具体的な数値を調べるのは一手間必要になるので、その手間を省ける点が良いなと感じました。

一方で「なぜこのような傾向になっているか?」といった原因を探る部分は人手で行う必要があります。

一般的に1月初めは正月休みとなるため、正月休みやイベントが訪問者数に影響していると考えられますが、「スライド自動生成」機能はあくまで、チャートから読み取ることができる傾向をサマリとして出力する機能になっています。

原因調査に利用する別のチャートをスライドに含めることで、原因の分析を一貫して行うことができそうです。

(ex. ECサイトで実施したイベント情報を可視化するチャートをスライドに含めることで、15日にイベントが終了していることが分かる など

数式アシスタント

数式アシスタントは、フィールド追加の際に数式を自動生成してくれる機能です。

Looker StudioPro)では、データソースから自動生成されたフィールドを基に新しくフィールドを追加することができますが、その際に使用する数式をプロンプト(日本語入力)によって生成できる機能です。

実際に以下のシーンを想定して「数式アシスタント」を利用してみましょう。

ECサイトは日本、アメリカ、イギリスのユーザー(以下、ターゲットユーザー)向けに作成しているため、それ以外の国から訪れるユーザーに絞って調査したい。

 

GA4データの各レコードには、アクセス元の国を表す情報(Country)があるので、

フィールド“Country”の情報を基に、ターゲットユーザーか否かを判定するフィールドを追加すると良さそうです。

数式アシスタントを使ってフィールド追加をしてみましょう。

 

利用手順

レポートの編集モードで、該当するデータソースから「Add a field」>「Add calculated field」を押下します。

Field Name“target_user”とし、右下の鉛筆マーク?を押下します。

プロンプトを入力するポップアップが表示されるので「国が日本、アメリカ、イギリスのうちのどれかか否かを判定するフラグを追加して」と入力して「Create」を押下します。

Geminiがいい感じにクエリを生成してくれました。

ただ、今回Countryに入る値は英語表記なので、条件の中身を修正する必要があります。

その場合は、「Refine」を押下し、クエリを修正します。

プロンプトに「日本、アメリカ、イギリス は英語にして」と入力して「Create」を押下します。

国名を英語表記に直してくれました。このまま使えそうなので「Apply」>「Save」と順に押下しフィールドを作成します。

ここまでの手順でフィールドの追加は完了です。

せっかくなので、ECサイトを訪れるターゲットユーザー以外のユーザーがどれくらい存在するかを見てみましょう。

作成したフィールドでフィルターを設定(target_user = false)し、国ごとのユーザー数を表すチャートを作成しました。

→香港からのユーザーが最も多く、アジア圏からのユーザーが多いみたいでした。

余談となりますが、国名をISO標準の国名コードに変換することもできました。

プロンプトに「日本、アメリカ、イギリス をISO標準のIDに直して」と入力してみると、

画像のとおり、国名コードに変換してくれました。

 

所感

生成AIGemini」を基とした機能のため、曖昧な日本語でも上手に意図をくみ取ってくれる印象を受けました。

国名をISO標準の国名コードに直すなど、具体的にどんな値を入れればよいか分からない場合にも「Gemini」が知識を補完してくれる点も便利だと感じました。

また公式ドキュメントでも開発者向けと謳ってある通り、クエリ知識のない方が生成されたクエリを信じて利用するのは難しいという印象を受けました。

利用するデータの中身を把握しておかないとクエリの正しさを判断できないことがあるため、開発者としての知見が必要になると思います。

開発者にとっては、フィールド追加の際はまず数式アシスタントを使ってみる 価値があると感じました。特に、CASE句にたくさんの分岐を記述する場合や、クエリの構文が思い出せない場合にとても重宝する機能だと感じました。

クエリにはLooker StudioPro)独自の構文も提案してくれるので、知見を増やす意味でも利用をおススメします。

まとめ

本記事では、Gemini in Lookerに含まれる3つの機能のうち「スライド自動生成」「数式アシスタント」について紹介しました。

Looker StudioPro)におけるレポート開発・利用を効率化できる機能になっておりますので、皆様もぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

2025年7月2日 Looker Studio ProのGemini in Looker(スライド自動生成、数式アシスタント)を使ってみる

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