2023年12月19日
【Google Cloud】第1回:Veeamを使ったGoogle移行~方式比較してみた!~
- Category Google Cloud
今回はオンプレミスの仮想マシンをGoogle Cloudに移行する方法の1つをお話しします。
Google Cloudでは移行するためにMigrate to VMsといった便利なツールを提供していますが、要件を満たせず利用できない環境が出てきたりします。
その場合に代替案としてサードパーティーツールによる移行を今回検討、検証しました。
本記事ではGoogle検証済みの「Veeam」というサードパーティツールを使用した移行方法に焦点を当てて説明します。
記事の構成は以下の通りです。
- 第1回:方式比較してみた! ★今回
- 第2回:移行やってみた!環境準備編
- 第3回:移行やってみた!移行編
Veeamの概要
Veeamは、物理サーバー、仮想マシン、クラウドリソースに対してデータバックアップと復旧を行うソリューションです。今回はリストア機能を移行ツールとして利用しました。
Google Cloudへの移行を検討している場合、Veeamでは以下2つの製品が該当します。
※それぞれの詳細は公式ページを参照ください。
上記2つの製品はそれぞれ異なる用途が特徴があるため、表形式で違いについてまとめてみました。
Veeam Backup & Replication | Veeam Backup for Google Cloud Platform | |
---|---|---|
用途 | オンプレミスおよび仮想環境向けの包括的なデータバックアップと復旧ソリューション | Google Cloud内で稼働する仮想マシンやリソースを対象とするデータバックアップと復旧ソリューション |
提供機能 |
|
|
対応環境 | VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、クラウドプラットフォーム など | Google Cloudのリソース (仮想マシン、Storage、データベース など) |
本記事ではオンプレミスからGoogle Cloudへの移行のため、「Veeam Backup & Replication」を使用した方法に焦点を当てて説明していきます。
※「Veeam Backup for Google Cloud Platform」はGoogle Cloud上のリソースのバックアップに利用されるため、今回のシナリオでは使用できません。
Veeam Backup & Replication Community Editionとは?
Veeam社が無償提供しているライセンス形態が「Veeam Backup & Replication Community Edition」で、今回はこちらを使用して検証を行いました。
Veeam製品を無償で使用したい場合、以下2つの方法があります。
- Veeam Backup & Replication Community Editionを使用する
- 評価版を使用する
但し、Community Editionの場合はバックアップ取得可能なインスタンス数が10台や、上位機能(帯域幅の設定や電子メール通知など)の使用ができません。
評価版の場合は、有償版と同等の機能がありますが30日間限定なので継続的な運用などは不可能といった制限があります。
本記事のように、少ないインスタンスで移行したいといった要件であれば「Community Edition」でも問題なく使用できます。
検証パターン
本記事では、Veeamを使用してデータのリストアを行う際に考えられる異なる環境構成に焦点を当てて検証を行いました。以下は検証した環境の構成図を示します。
上記環境構成のリストア経路パターンは以下の通りです。
方式 | Veeam設置環境 | ネットワーク経路 | ヘルパーアプライアンスの有無 |
---|---|---|---|
a | オンプレミス | インターネット | 無 |
b | オンプレミス | インターネット | 有 |
c | オンプレミス | Cloud VPN | 無 |
d | オンプレミス | Cloud VPN | 有 |
e | Google Cloud | Google内部のネットワーク | 無 |
f | Google Cloud | Google内部のネットワーク | 有 |
実際のリストア画面については第2回記事で説明します。
ヘルパーアプライアンスの概要
ヘルパーアプライアンスとは、VeeamのバックアップデータをGoogle Compute Engineへアップロードする際に利用されるLinuxベースの補助インスタンスです。
このオプションは移行時間を短縮するためのオプション機能になります。
ヘルパーアプライアンスは、リストアが完了すると自動的に削除されるので、不要なリソースとして残ることもありません。環境によっては必須になる場合もありますが、ここでは詳細は割愛します。
デメリットとしては、一時的にCompute Engineが作成されるため、多少の課金額が発生します。
比較結果
要件、コスト、移行時間でそれぞれの方式を比較すると、以下の通りになりました。
※バックアップ対象はWindowsサーバーの100GBドライブ
※バックアップ・リストア時間についてはあくまで記事作成者での環境によるものであり、環境によって誤差があります。
方式 | 要件 | コスト | バックアップ時間 | リストア時間 |
---|---|---|---|---|
a |
|
なし | 3:45 | 1:07:12 |
b |
|
|
上記に同じ | 0:33:28 |
c |
|
|
上記に同じ | 1:11:14 |
d |
|
|
上記に同じ | 0:39:26 |
e |
|
|
24:58 | 1:02:26 |
f |
|
|
上記に同じ | 0:28:16 |
※1、2、3 についてはそれぞれ別途Google Cloud側またはオンプレミス側での設定が必要となります。
詳細な設定方法については第2回記事で解説するのでそちらをご確認ください。
まとめ
比較結果のまとめとしては
- 設置環境やネットワーク経路によって設定方法が変わる
- ヘルパーアプライアンスを使用すると移行時間が倍以上短縮されることがある
→移行時間に制約がある場合はコスト面などを踏まえてヘルパーアプライアンスの使用を検討する必要がある - パターンc と d の内容が一番苦労した。
(こちらは第2回記事で詳しく解説していますので是非読んでください!!)
一概にどの方式がいいとかはないので、環境に合わせて最適な方法をとることが大事だなと思いました。
ご意見・ご相談・料金のお見積もりなど、
お気軽にお問い合わせください。