2025年7月7日

Looker Studio Pro で Gemini in Looker の会話分析を試す


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Google Cloud のデータ分析プラットフォーム Looker Studio Pro で「Conversational Analytics (会話分析)」を試してみました。会話分析は、Google Cloud の生成 AI 機能群 Gemini in Looker に含まれる機能の 1 つで、ユーザーが自然言語でデータ分析を行えるようにするものです。

本記事では、2025 年 6 月時点での検証をもとに、会話分析の概要と実際に試してみた結果をご紹介します。

Conversational Analytics (会話分析) とは

Conversational Analytics (会話分析) は、Google Cloud が提供する生成 AI 機能群 Gemini in Looker の機能の 1 つです。BigQuery や Google スプレッドシート、Looker など、様々なデータソースに対して自然言語で質問し、その回答を自動生成されたグラフ、表、またはテキストとして受け取ることができます。会話分析を利用するには、Looker Studio Pro のサブスクリプションユーザーである必要があります。

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会話分析を試す

まず、Gemini アシスタンスを使用して自然言語でデータにクエリを実行する(プレビュー) を参考に、会話分析の機能を試してみます。
1. 会話分析を使用するための要件 を満たしていることを確認します。

2. 会話分析に移動する を参考に会話分析にアクセスします。

3. データソースを選択して会話分析を開始します。今回は、公開データセットの theLook eCommerceを使用します。

まずは、次のような内容で質問します。

年齢層の分布を教えてください。

回答が出力されました。単にテーブル形式で表示されるだけでなく、棒グラフにも自動的にプロットされています。

回答がどのように計算されたか確認するには、「Here’s the query result.」の横にあるトグルアイコンをクリックします。コードタブに切り替えると結果を出力するために生成された SQL が表示されます。

さらに、会話分析で回答に関する追加のデータ分析情報がある場合は、回答の下に分析情報ボタンが表示されます。ボタンをクリックすると、追加の分析情報を取得することができます。

  • 65歳以上の年齢層は、ユーザー数が2万人を超えており、最も多いユーザー層です。
  • 25~34歳、35~44歳、45~54歳、55~64歳の各年齢層は、いずれもおよそ16,800人から17,140人の間で、ほぼ同じユーザー数です。
  • 18~24歳の年齢層は他の年齢層と比べてユーザー数が最も少なく、およそ11,745人です。

 

次に、少し抽象的な内容で質問します。

登録日が最近のユーザーの特徴を教えてください。

“最近” が自動的に 3 ヶ月と定義され、ユーザーの年齢、性別、地域が抽出されました。また、以下のような分析情報が得られました。

  • 2025年6月は登録数が最も多く、全体の中でも大きな割合を占めています。
  • 女性の登録数は男性よりわずかに多くなっています。
  • 地域別では、広東省が最も多くの登録者数を記録しています。
  • 登録者の中で最も多い年齢は33歳です。

 

最後に、マルチターンでの回答が可能か試します。

国・流入元ごとのユーザー数を教えてください。

ヒートマップが自動的にプロットされました。国を X 軸に変更し、ヒートマップの色を暖色に変更します。

国を X 軸にしてください。また、色は暖色をベースにしてください。

ヒートマップの X 軸と Y 軸が入れ替わり、X 軸には国が設定され、暖色系のカラーパレットでプロットされています。これにより、会話分析がマルチターンにも対応していることが確認できました。

エージェントを試す

次に、会話分析: データ エージェント を参考に、エージェントを作成し、機能を試してみます。エージェントは、特定のデータユースケースに合わせて会話分析の体験をカスタマイズできる機能です。エージェントを使用することで、追加のコンテキストや指示を与えられ、ユーザーの質問に対してより的確に回答できるようになります。
1. 新しいデータ エージェントの作成 を参考にエージェントを作成します。今回は、eCommerce の在庫管理データをもとにインサイトを提供するエージェントを作成しました。

項目
エージェント名 eCommerce Inventory Insight Agent
説明 eCommerce の在庫管理データをもとにインサイトを提供するエージェントです。
データ 公開データセットの theLook eCommerce
手順 なし

2. エージェントとの会話の開始 の手順に従い、エージェントと会話を開始します。

まずは、次のような内容で質問します。

ブランド別の売上件数を教えてください。

回答が出力されました。生成された SQL を見ると、ブランド名ごとのデータ件数を取得していることが分かります。使用しているデータには [sold_at] というカラムがあり、このカラムに値が入っていなければ売り上げがないと判断してほしいので、手順に指示を追加します。

・「売上」に関する質問では、[sold_at] が NULL の場合は「売上がない」と判断してください

再度同じ内容で質問すると、[sold_at] に値が入っているデータのみがカウントされていることを確認でき、入力した指示が反映されていることが分かります。


次に、少し抽象的な内容で質問します。

利益が大きい商品カテゴリ TOP 10 を教えてください。

利益の定義を指示しなくても自動的に [product_retail_price] – [cost] で計算が実行されました。一般的に知られている用語が使われている、テーブルのスキーマが適切に整理されている場合は、細かい指示を入力しなくても期待通りの分析結果が得られる可能性が高くなりそうです。

まとめ

本記事では、Looker Studio Pro で Gemini in Looker の Conversational Analytics (会話分析) を試してみました。

回答の精度を上げるには、「○○の○○を使用してください」のような明確な指示をプロンプトに記述することが有効でした。しかし、詳細な指示を与えすぎると、せっかくの「自然言語でデータと対話できる」というメリットが薄れてしまうため、バランスを見つけることが重要だなと感じました。今回紹介したエージェントを用いて事前に用語やロジックを定義しておくことも 1 つの有効な解決策なのかもしれません。

また、データ構造が複雑な場合、特に何重にもUNNESTされているようなデータセットでは、クエリエラーになりやすい傾向が見られました。そのため、できるだけシンプルな構造のデータを使用すると、期待通りの結果が得られやすくなります。ぜひ試してみてください!

2025年7月7日 Looker Studio Pro で Gemini in Looker の会話分析を試す

Category Google Cloud

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