2026年6月25日

Gemini Enterprise app × ADK: カスタムエージェントの構築と連携実践ガイド


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※本記事の内容は2026年5月31日時点の環境に基づいています。

この記事では、Agent Development Kit (ADK) を使用して、カスタムエージェントを構築し、Agent Runtime (旧 Vertex AI Agent Engine) にデプロイして、Gemini Enterprise app でシームレスに活用する方法を解説します。

エージェントを Gemini Enterprise app と連携させることで、アプリケーションの使用者は複雑な開発なしに、社内ドキュメントを検索する RAG 機能などの高度な恩恵を享受できるようになります。

 

この記事でわかること

  • エージェントの構築とデプロイの手順
  • Gemini Enterprise app への登録と権限設定の方法
  • 開発時によく起きるトラブルとその解決策

1. 前提条件

まず、以下の環境が整っていることを確認してください。

  • Google Cloud プロジェクト: 以下のサービスが有効である必要があります。
    • Agent Runtime(デプロイ先)
    • GCS / BigQuery(資料の保管場所)
    • Agent Platform
    • Gemini Enterprise
  • Gemini Enterprise ライセンス: 該当プロジェクトで Gemini アプリケーションを利用できる必要があります。
  • Python 環境: Python 3.10 以上、google-adk 1.28.1 以上がインストールされている必要があります。

2. 環境準備 (IAM 権限とリソース)

実行に先立ち、以下の権限設定を完了させました。

ユーザー側 (デプロイ担当)

  • AI Platform 編集者: エージェントのデプロイ・管理
  • ストレージ管理者: Google Cloud Storage (GCS) へのテストデータアップロード
  • BigQuery 管理者: BigQuery へのテストデータアップロード
  • ディスカバリーエンジン管理者: Agent Search のセットアップ
  • Cloud Run 管理者: Cloud Run へのデプロイ(今回は実施しないため、不要かもしれません)
  • Service Usage コンシューマー: デプロイコマンドの実行
  • サービスアカウント ユーザー: サービスアカウントを各種リソースに紐付け
  • ディスカバリーエンジン管理者: Agent Search データストアへの接続
  • 閲覧者: 必要最低限の権限

エージェント側 (Reasoning Engine サービスアカウント)

Reasoning Engine のサービスアカウント(service-{プロジェクト番号}@gcp-sa-aiplatform-re.iam.gserviceaccount.com)に対して、GCS 等への読み取り権限を付与してください。
具体的な手順は、データサイエンスエージェントをAgent Engineにデプロイしてみた!の「2. サービスアカウントへの権限付与」にまとまっています。

3. エージェントの構築手順


以下の4つのステップで構築を進めます。

3.1. データの準備と検索エンジンの作成

  1. 資料の配置: 就業規則などのドキュメントを GCS バケットに保存します(今回は、生成AIにテストドキュメントを生成させました)。
  2. データストアの作成: Agent Search (旧 Vertex AI Search) でデータストアを作成し、GCS の資料をインデックス化します。※詳しい方法は、検索データストアを作成する – Cloud Storage からインポートするをご参照ください。

3.2. プログラムの実装

  1. ツールの作成: tools/search_tool.py google-cloud-discoveryengine を用いた検索関数を実装します。
  2. エージェントの定義: Agent クラスでモデルとツールを紐付けます。

詳しい方法は、Agent Search tool for ADKをご参照ください。

3.3. ディレクトリの構成

プロジェクト内は以下のような構成にします。

/adk-dev_01/
├── agent.py # メインプログラム
├── tools/
│ └── search_tool.py # 検索用ツール
├── utils/
│ ├── config.py # 設定ファイル
│ └── generate_content_config.py
├── .env # 環境変数
├── .gcloudignore # 除外設定
└── requirements.txt

特に、agent.py は次のコードになっています。パッケージの競合を避けるために相対インポートを使います。

from google.adk.agents import Agent
from google.adk.tools.preload_memory_tool import PreloadMemoryTool

from .tools.search_tool import search_vertex_ai
from .utils.config import settings
from .utils.generate_content_config import generate_content_config

root_agent = Agent(
name=settings.app_name,
model=settings.model_name,
description="Agent Search を使用して回答する RAG チャットボットエージェントです。",
instruction=settings.system_instruction,
generate_content_config=generate_content_config,
tools=[search_vertex_ai, PreloadMemoryTool()],
)

4. デプロイと GE への登録

4.1. ADK でのデプロイ

以下のコマンドを実行して、Agent Runtime にデプロイします。

adk deploy agent_engine . \
--project=$PROJECT_ID \
--region=$LOCATION \
--display_name=$CHATBOT_NAME \
--adk_app_object=root_agent

デプロイ成功時のコンソール出力が画像のようになります。

 

「Created agent engine」と表示されれば成功です。

Google Cloud コンソールで、Agent Runtime にデプロイされていることを確認できます。

デプロイされたエージェントを表示したり、削除する方法はデプロイされたエージェントを管理するをご参照ください。

4.2. Gemini Enterprise appへの登録

Gemini Enterprise Agent Platform でホストされている ADK エージェントの登録と管理 – ADK エージェントを Gemini Enterprise に登録する を参照し、実際にGemini Enterprise app に登録しました。

アプリの作成の仕方はアプリを作成するをご参照ください。

登録が完了すると、画像のようにリストにエージェントが表示されます。

4.3. ユーザー権限の付与

Gemini Enterprise app に追加したエージェントをすぐに使えるわけではありません。
エージェントにアクセスできる権限を設定する必要があります。

登録したエージェントを選択し、「ユーザ権限」>「ユーザを追加」をクリック

メンバー、ロールの割り当てを入力/選択し、「保存」をクリック

これによって、メンバーがエージェントを使えるようになります。

5. 動作確認とトラブルシューティング

5.1. 実際の動作イメージ

Gemini Enterprise app の画面から、デプロイしたエージェントを介して社内資料を検索できるか確認しましょう。

まずは、Google Cloud コンソール から、自身が作成したアプリを選択し、ダッシュボードからGemini Enterprise app を開きましょう。

次に左の「エージェント」ペインを選択し、「自分の組織から」配下の連携済みのエージェントを選択してください。

そうすると、先ほどデプロイしたエージェントをツールとして使えるチャットができるようになります。

以下の画像のように、インデックス化した資料が検索され、エージェントの動作が正常であることを確認できました。

補足ですが、Gemini Enterprise app に連携済みのエージェントを更新すると、再度連携しなおさなくても、エージェントの更新が反映されていました。これは個人的に非常にありがたい仕様です。

5.2. よくあるトラブルと解決策

開発中につまずきやすいポイントをまとめました。

  1. デプロイサイズが 8MB を超えてしまう
    • 現象: 仮想環境(.venv)が含まれてしまい、エラーになることがあります。
    • 対策: .gcloudignore を正しく設定するか、デプロイ時に一時的にフォルダを外へ出しましょう。
  2. インポートエラーが発生する
    • 現象: フォルダ名がシステムの予約語と重なり、読み込めないことがあります。
    • 対策: メインのファイル名を agent.py にし、内部の呼び出しは from .module ... のように書きましょう。
  3. ファイルが見つからない
    • 現象: 資料が英語のままでは、日本語の質問に対する検索ヒット率が著しく低下します。
    • 対策: 資料の言語とクエリ(質問)の言語を統一させましょう。

6. まとめ

本記事では、ADK を用いたカスタムエージェントの構築から Gemini Enterprise app への連携、そして現場で直面したトラブルシューティングまでを網羅しました。

エージェントを Gemini Enterprise app に連携することで、全社規模での AI 活用を低コストかつセキュアに実現できます。ぜひ、本記事のトラブルシューティングを参考に、皆さんのプロジェクトでもカスタムエージェントのデプロイに挑戦してみてください。

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