2025年12月25日 「VM Conversion」で VMware 仮想マシン移行してみた Hyper-V VMware 検索する Popular tags 生成AI(Generative AI) Vertex AI Search Looker Studio BigQuery AlloyDB Google Workspace 事例紹介 Cloud SQL Category インフラ Author k-hirase SHARE 目次 「VM Conversion」のサポート状況 環境準備 移行してみよう 移行して気になったポイント まとめ Content 仮想ハイパーバイザ見直しの潮流を受けてかどうか、Microsoft 社から正式に Hyper-V への移行ツール「VM Conversion」がリリースされました。現時点ではまだプレビュー版ですが、この期間でも徐々に機能が拡充している様子ですので、実際に試すことで実用性を確認したいと思います。 「VM Conversion」のサポート状況 VM Conversion のサポート要件です。 2025/12 時点では少し古めの vCenter サーバや ゲスト OS もサポートされているようです。 ※ 移行元にて vCenter サーバ の準備が必須です。 1)移行元の VMware vCenter サポート対象 バージョン vCenter サーバ VMware vCenter 6.x VMware vCenter 7.x VMware vCenter 8.x 2)移行対象のゲスト OS サポート対象 バージョン Windows オペレーティング システム Windows Server 2025、2022、2022 Azure Edition、2019、2016、2012 R2 Windows 10 Debian ベースのオペレーティング システム Ubuntu Linux Ubuntu 20.04、24.04 Debian 11,12 RHEL ベースのオペレーティング システム Alma Linux CentOS Red Hat Linux 9.0 環境準備 1) 環境概要 今回は下記のような環境にて検証を行いました。 実際にあり得る移行シーンを想定し、少し古めの VMware 環境と延長保守切れも近い「Windows Server 2016」を移行対象として検証します。 ※ 検証資材の関係で、実際にはすべて同一の物理ホスト上で構築しています。 2) 移行環境を準備しよう! 紙面の都合上、前述の「移行対象VM、移行元ハイパーバイザ、移行先ハイパーバイザ、管理/変換サーバ(OS まで)」は既に準備してあるとものとして割愛します。 ① 公式手順に沿って Windows Server に 「Windows Admin Center(2.4.12.10)」をインストールします。 今回は検証のため「簡単セットアップモード」にて導入していますが、実際の環境では適切に設定を行ってください。 ② 追加のソフトウェアを導入します。 「Windows Admin Center」インストール後、「VM Conversion」を利用するために、追加で下記ツール/ライブラリの導入が必要です。 こちらも公式手順がありますので、そちらに沿って導入をお願いします。 VMware.PowerCLI Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージ Visual Studio 2013 用 Visual C++ 再頒布可能パッケージ VMware Virtual Disk Development Kit (VDDK) バージョン 8.0.3 ※ 2025/12 時点で 8.0.3 をダウンロードするためには、Broadcom 社の Developer Portal へのログインが必要でした。 ※ ここまで見た瞬間で勘のいい方はお察しかと思いますが、拡張機能の概要としては「Windows Admin Center」から PowerCLI や VDDK を駆使して、スナップショット/同期/エクスポート/インポートを行うような仕組みのようです。 移行してみよう 環境が準備できたら、さっそく移行してみましょう ① 「Windows Admin Center」 にログインします。 ② 移行先のハイパーバイザを登録します。 ③ メニューの一番下にある「拡張機能 > VM の変換 (プレビュー)」を選択します。 ④ 「vCenter に接続する」を選択した後、「+追加」ボタンを押し、接続する vCenter サーバを設定します。 ⑤ 接続後、vCenter サーバに登録されている VM がリストアップされます。 ⑥ 「同期」タブにて移行する VM を選択し、「同期」を押した後で、同期先のディレクトリを指定します。 ※最大10台まで同時に同期が可能です。 → 状態列が「Sync complete (100%)」となっていたら同期完了です。 → この時点で、Hyper-V サーバの「⑥」で指定したフォルダに仮想ディスクが作成されています。 ⑦ 同期の正常終了後、「移行」タブにて移行するサーバを選択し、「移行」を押します。 静的 IP アドレスの移行や VMware Tools のアンインストールを実施する場合は、ここで選択します。 → 移行の状態列が「Destination VM Created. Migration complete (100%)」となっていたら移行完了です。 ⑧ Hyper-V マネージャにて移行した VM が起動していることを確認します。 以上で移行は終了です。 GUI で操作できるため、比較的簡単に移行ができるのではないでしょうか。 次章では、VM Conversion について少し深堀りしたいと思います。 移行して気になったポイント 本章では移行をしながら気になったポイントをまとめていきます。 無停止で移行はできるか → できません。 データの最終同期(差分同期)が終了した後移行元 VM を停止し、その後移行先 VM を起動する挙動となるため、必ず停止が発生します。 データベース等の整合性担保が必要なサービスは移行前に停止しておいた方が安全かと思われます。 ※ さすがに別ハイパーバイザに向けて vMotion/ライブマイグレーション のような仕組みは難しいのかもしれませんね。 移行の仕組み 現時点では「初期同期 → 移行(最終同期)」の2フェーズのみとなっています。 初期移行後に継続的な同期処理はできないようです。 移行前後の比較 移行前後の仮想 VM でいくつか差分が見られました。 実際に移行する時にご参考になればと思います。 比較項目 状況 CPU なし ※注釈:未検証ポイント参照 メモリ なし ※ ただし Hyper-V 上では固定で確保 (動的メモリではない) 仮想ディスクファイルの容量 利用済みの容量のみ移行しているようです。 ・ シン プロビジョニング = 利用済みの容量のみ移行 ・ シック プロビジョニング = 全容量 (フォーマット済みの容量)を移行 OS から見たディスク容量 若干変化あり ※ VMware Tools アンインストール等の影響と想定 ネットワーク インターフェース変更となる ※ 後述 プロセス Windows OS であれば Hyper-V 関連のサービスか起動されるようになる その他 DVD ドライブがなくなっている ※ 移行元の VM 側で「クライアントデバイス:無効」としてたのが原因かも ネットワーク インターフェース カード (Nic) について 移行後にはネットワーク インターフェース カードが変更(既存削除&新規追加)となるため、実運用では移行後に若干の考慮が必要そうです。 特に複数の Nic をお使いの環境では注意が必要です。 移行前の Nic 状況 移行後の Nic 状況 動的 IP アドレス (DHCP) を利用 IP アドレス変更 (DHCP より再取得) MACアドレスも変更 固定 IP アドレスを利用 移行時に「静的 IP アドレスを移行する」を有効にした場合 既存 Nic は デバイスマネージャ上には存在するが、ネットワークアダプタとしては認識されていない状態。 新たな Nic が接続され 1つ目の Nic のみ、移行前の IP アドレス等が設定される。 2つ目以降の Nic については、移行前の IP アドレスは設定されない。 MACアドレスも変更 固定 IP アドレスを利用 移行時に「静的 IP アドレスを移行する」を有効にしなかった場合 既存 Nic は デバイスマネージャ上には存在するが、ネットワークアダプタとしては認識されていない状態。 IP アドレスが設定されていない新たな Nic が接続される。 MACアドレスも変更 Hyper-V 構成バージョンや仮想マシン世代について Hyper-V 構成バージョンや仮想マシン世代については、ホスト側 OS にてサポートされる最新バージョンが設定されるようです。 今回の ホスト OS は「Windows Server 2016」でしたので、下記が設定されました。 Hyper-V 構成バージョン: 8.0 仮想マシン世代:第二世代 今回未検証なポイント 今回は物理的には同一環境上にて検証を実施したため、下記の項目については割愛させていただきます。実際に移行を想定されている環境にてお試しいただいた方がよいかなと思います。 ≫ 移行時間やパフォーマンス ≫ 別 CPU ファミリへの移行 その他困った点 デフォルトの仮想ディスク名をユニークにする必要があるのは理解していますが、旧 vCenter 名が付いてしまうのはちょっとどうにかならないものかと・・・ ※もちろん後で変更できますので大事ではないですが、気になるとちょっとした手間ですね。 命名ルール: (vCenter 名)‐(ディスク名)-(初期同期日時、UTC).vhdx 例: 移行前の状況 移行後のデフォルト仮想ディスク名 vCenter 名 : vCenter.test.local 仮想ディスク名 : Win2016-test-Disk 初期同期日時 :2025/12/03 15:34:22 vCenter-test-local_Win2016-test-Disk_2025-12-03_15-34-22.vhdx ※ vCenter 名の「.」は「-」に変換される模様 移行が失敗した場合のシューティング ① 「Windows Admin Server」のインストール後、接続ができない (ajax error 500) 「Windows Admin Server」サービスの起動アカウントを 「ローカル システム アカウント」に変更することで解消できました。 ② 急に一切移行ができなくなりました。 いろいろと試行錯誤したのですが、結局「Windows Admin Server」がメモリ不足に陥ってたようです。 再起動して事なきを得ました。 ③ 一度移行が成功すると、同じ移行先(Hyper-V)には同じ名称の仮想VMは同期できない! 上記「②」の影響かどうか、検証中に移行は成功したものの、Hyper-V 側で青い画面にて OS が起動できなかったことがありました・・・ この時、VMware 側では「ディスクを統合してください」とアラートが出ている状態であるものの、起動はしている状態でした。 気を取り直してHyper-V 側のディスクを削除し、再度同期から実施をこころみましたが、既に移行済みということで再同期ができませんでした。。。 検証なので該当 VM の移行は諦めたのですが、実環境では何が起こるか分からないため、再実行できるように改善いただきたいポイントですね。 ※ その後、ダメもとで VMware 上の仮想 VM 名を変更してみたのですが、同様に同期できませんでした。。。 その他 トラブルシューティングについて 「Windows Admin Server」のアプリケーション イベントログにエラー等が記載されますので、エラー発生時はこちらも確認するとよいと思います。 まとめ 「Windows Admin Center」にて、かなり簡単に VM 移行ができることが確認できました。 現時点ではプレビュー版なので、是非正式なリリースを待ちたいと思います。 VMware から Hyper-V へ、 GUI 操作で気軽に移行! しかも Microsoft 公式の無償ツール まだ少し改善して欲しいポイントがあり、今後に期待! オンプレとクラウドがますます混在していく中、オンプレ側の旗手が発した迷走劇がどうなっていくか。 新たなハイパーバイザも続々発表されてきていますので、今後の動向から目が離せません! 最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 頂きましたご意見につきましては、今後のより良い商品開発・サービス改善に活かしていきたいと考えております。 役に立った あまり役に立たなかった おもしろかった ためになった Author k-hirase 情シス常駐のなかで自然とインフラ領域へ。 運用保守、ネットワーク、セキュリティ、仮想化等を経て、現在はクラウドにたどり着く。 実は元VB6プログラマ。料理好き。 Hyper-V VMware 2025年12月25日 「VM Conversion」で VMware 仮想マシン移行してみた Category インフラ 前の記事を読む Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた 次の記事を読む 【Google Cloud】A2A アプリケーション開発 ベストプラクティスの確立 Recommendation オススメ記事 2023年9月5日 Google Cloud 【Google Cloud】Looker Studio × Looker Studio Pro × Looker を徹底比較!機能・選び方を解説 2023年8月24日 Google Cloud 【Google Cloud】Migrate for Anthos and GKEでVMを移行してみた(1:概要編) 2022年10月10日 Google Cloud 【Google Cloud】AlloyDB と Cloud SQL を徹底比較してみた!!(第1回:AlloyDB の概要、性能検証編) BigQuery ML ワークショップ開催のお知らせ 生成AI導入支援パッケージ Discovery AI導入支援パッケージ Google Cloud ホワイトペーパー 新着記事 2025年12月25日 Google Cloud 【Google Cloud】A2A アプリケーション開発 ベストプラクティスの確立 2025年12月25日 インフラ 「VM Conversion」で VMware 仮想マシン移行してみた 2025年12月25日 Google Cloud Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた HOME インフラ 「VM Conversion」で VMware 仮想マシン移行してみた