2024年7月3日
【Google Workspace】Excelからスプレッドシートへの互換性を調査してみた
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- Category Google Workspace
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多くの企業でExcelが深く根付いている中、Google Workspace導入を検討する際に、
Excelとスプレッドシートとの互換性可否は懸念事項の一つとなります。
そこで今回は、Excelからスプレッドシートに移行した場合のエクセル機能の互換性について調査しました。
Excelには多くの機能がありますが、本記事では、関数、グラフ、条件つき書式、
その他機能(プルダウン・チェックボックス、保護機能)についてご紹介します。
関数の互換性
よく利用する以下の関数について、互換性の可否を調査しました。
多くの関数に互換性はありますが、一部互換性がないものや
全く同じ名前の関数でも、引数の個数や引数の順番が異なる場合があります。
関数名 | 互換性 |
---|---|
SUM | あり |
AVERAGE | あり |
VLOOKUP | あり |
IF | あり |
COUNTIF | あり |
RIGHT | あり |
MID | あり |
LEFT | あり |
FIND | あり |
TODAY | あり |
TEXT | あり |
FORMULATEXT | あり |
CONCAT | なし(引数の数が異なる) |
CONCAT関数は、Excelとスプレッドシートで同じ名前でありますが、引数の個数が異なります。
Excelの場合、任意の数を引数として使用できますが、
スプレッドシートの場合、引数の数が2つで固定されています。
そのため、Excelをスプレッドシートに移行すると、引数の個数が不正でエラーが表示されます。
ExcelでCONCAT関数を利用している場合は、CONCATENATE関数を使用するなど変更が必要になります。
関数名 | Excel | スプレッドシート |
---|---|---|
CONCAT | (文字列 1 [文字列 2], …) | (文字列 1, 文字列 2) |
CONCATENATE | (文字列 1 [文字列 2], …) | (文字列 1 [文字列 2], …) |
Excel
スプレッドシート
さらに詳細を知りたい方は、公式ドキュメントをご参照ください。
グラフの互換性
グラフは、折れ線グラフ、棒グラフ、複合グラフ(折れ線グラフ+棒グラフ)の3種類で調査しました。
折れ線グラフ・棒グラフ
折れ線グラフ・棒グラフともにスプレッドシートでは、縦軸のメモリ幅が若干変わってしまいますが、
いずれもグラフもExcelと同じように表示され、互換性があります。
Excel
スプレッドシート
複合グラフ(折れ線グラフ+棒グラフ)
複合グラフでは、左右縦軸の表示が変わってしまいます。
左軸では表示される値が変わってしまい、右軸では情報が消えてしまいます。
これはスプレッドシートに移行した際に、
すべての軸が左軸に表示されるようになるため表示がおかしくなっています。
Excel
スプレッドシート
Excelで設定していた左右軸の情報は残っているので、スプレッドシートに移行後
グラフエディタから軸の表示位置を変更することで元の状態に戻すことができます。
スプレッドシート
条件つき書式の互換性
以下の条件付き書式の書式ルールについて調査しました。
今回調査した書式ルールの中で、重複を判断する書式ルールは互換性がありません。
スプレッドシートで代わりとなる同様の書式ルールが存在しないためです。
書式ルール | 書式設定 | 互換性 |
---|---|---|
セルが空白値の場合 | セル塗りつぶす | あり |
セルの値が”close”の場合 | セル塗りつぶす | あり |
重複する値 | セル塗りつぶす | なし |
日付が今日の場合 | セル塗りつぶす | あり |
土日のみ | セル塗りつぶす | あり |
重複する値に色付けを行いたい場合は、
[表示形式] – [条件付き書式]から再度設定する必要があります。
条件付き書式設定ルールで範囲を選択し、
カスタム数式とCOUNTIF関数を利用することで色付けを行うことができます。
Excel
スプレッドシート
スプレッドシートの条件付き書式で、利用できる書式ルールはこちらになります。
Excelからスプレッドシートに移行する場合、代わりとなる書式ルールが
スプレッドシート側にあるか事前に確認しておくとよいでしょう。
その他機能の互換性
プルダウン
プルダウンは互換性があります。
プルダウン入りのExcelをスプレッドシートに移行して開くと、Excelと同様にプルダウンが利用できます。
Excel
スプレッドシート
チェックボックス
チェックボックスは互換性がありません。
チェックボックス入りのExcelをスプレッドシートに移行して開くと、チェックボックスは消えてしまいます。
チェックボックスは、ExcelではActiveXコントロールを使用して実装されていて、
スプレッドシートではデータの入力規則として実装されています。
仕組みが異なるため互換性もありません。
Excel
スプレッドシート
スプレッドシートでチェックボックスを利用する場合は、
[挿入] – [チェックボックス]から再度設定する必要があります。
保護機能
保護機能は互換性がありません。
シートの保護を設定したExcelをスプレッドシートに移行して開くと、シート保護が解除されます。
保護していたセルが誰でも編集可能となるため注意が必要です。
スプレッドシートで保護機能を利用する場合は、
[データ] – [シートと範囲を保護]から再度設定する必要があります。
まとめ
Excelからスプレッドシートへの移行は、基本的には互換性があるのでそのまま移行可能です。
ただ、今回調査していく中でも挙げたように、移行後に対応が必要となる部分もあります。
移行後に再度設定を行うことで、Excelで利用していたブックの再利用が可能となります。
スプレッドシートへの移行の際に、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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