2023年4月24日
【Google Cloud】Backup and DRの基本を解説
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2022年9月にGoogle Cloudで「Backup and DR (バックアップとDR)」というサービスが発表、一般公開されました。
今回はこのサービスについてご紹介してまいります。
概要
「Backup and DR (バックアップとDR)」はGoogle Cloud上のCompute EngineやVMware EngineのVMだけではなく、オンプレミスや他のパブリッククラウドで稼働しているワークロードも含めて、バックアップおよびDR (災害対策) を一元的に管理するためのマネージドサービスです。
バックアップしたいホストにエージェントを導入することで、ファイルシステムやデータベースを検出、必要なもののみをバックアップすることが可能です。
またCompute EngineやVMware Engine、オンプレミスのVMwareで稼働するワークロードについては、APIを通じてエージェントレスでバックアップを取得することもできます。
取得されたバックアップデータはニーズに合わせて複数のリージョンで保管できるため、リージョン障害や大規模災害などへの対策として非常に有用です。
主要なコンポーネントとアーキテクチャ
必須のコンポーネントとして以下の2つがあります。
- Management console
- 後述するBackup/recovery appliancesの管理プレーンです。
Googleが管理するVPC内にデプロイされ、プライベートサービス接続を使用してBackup/recovery appliancesと通信します。
単一のManagement consoleで複数のBackup/recovery appliancesを管理することができます。
- 後述するBackup/recovery appliancesの管理プレーンです。
- Backup/recovery appliances
- バックアップ対象の検出、データ取得などを行う仮想マシンです。こちらは指定したVPC内にCompute Engine VMとしてデプロイされます。
Backup/recovery appliancesを異なるリージョンに複数配置することでリージョン障害への対策が可能です。
- バックアップ対象の検出、データ取得などを行う仮想マシンです。こちらは指定したVPC内にCompute Engine VMとしてデプロイされます。
その他にも以下のようなコンポーネントがあります。
- Backup and DR agents
- WindowsあるいはLinuxにインストールするアプリケーションです。
ファイルシステムやデータベースの検出、Backup/recovery appliancesとの通信に利用されます。
Backup/recovery appliancesへの接続にはiSCSIあるいはNFSを利用します。
一方で、Backup/recovery appliancesからの接続には5106番ポートが利用されます。
- WindowsあるいはLinuxにインストールするアプリケーションです。
- Snapshot pool
- バックアップデータの保管領域です。
実体はBackup/recovery appliancesにアタッチされた永続ディスクであり、要件に合わせて標準永続ディスク、SSD永続ディスクを選択できます。
- バックアップデータの保管領域です。
- OnVault pool
- バックアップデータを長期保存するための領域です。
実体はCloud Storageです。
- バックアップデータを長期保存するための領域です。
<アーキテクチャ例>
料金
大きく分けて以下の2種類の料金が発生いたします。
- 管理しているバックアップの使用量
- Backup/recovery appliancesにかかる料金
バックアップ使用量にかかる料金については取得するバックアップの種類(ファイルシステムやデータベース)などで細かく分かれているため、詳細はこちらをご参照ください。
Backup/recovery appliancesにかかる料金はCloud Billingのレポート上では「Compute Engine」として計上されます。
なおBackup/recovery appliancesは「e2-standard-16」でデプロイされます。
こちらを起動しているだけでもおよそ月に7万円前後の利用料金が発生いたしますのでご注意ください。(2023年4月時点、1ドル132円換算)
設定手順
必須のコンポーネントであるManagement consoleおよびBackup/recovery applianceのデプロイ手順をご紹介いたします。
まず始めにManagement consoleを設定します。
「場所」はManagement console自体がデプロイされるロケーションです。
※2023年1月現在、日本国内のリージョンは選択できません。
「VPCネットワーク」はプライベートサービス接続を使用するVPCを指定いたします。
プライベートサービス接続が未設定の場合、自動的に有効化されます。
次にBackup/recovery applianceを設定します。
こちらは日本国内も含めた任意のリージョン、ゾーンを選択することができます。
「Storage type」はバックアップ対象や要件に合わせて選択してください。
最後に最下部にある「BEGIN INSTALLATION」をクリックすると、Management consoleおよびBackup/recovery applianceのデプロイが開始されます。(およそ1時間ほどかかります。)
デプロイが完了いたしましたら以下のような画面が表示され、Management consoleに接続することが可能です。
まとめ
今回はBackup and DR (バックアップとDR)の基本的な内容をご紹介いたしました。
従来のバックアップソリューションと比較してすぐに導入できるのが魅力です。
また、こちらのサービスが追加されたことでGoogle Cloudだけではなくオンプレミスや他のパブリッククラウドのワークロードも含めて一元的にバックアップを管理できるようになりました。
メインではオンプレミスを利用しつつも災害対策としてパブリッククラウドをご利用されるようなケースでは、このサービスが適しているかと思います。
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今後のより良い商品開発・サービス改善に活かしていきたいと考えております。