2025年6月9日

Google Cloud Data & AI Summit ’25 Spring〜 生成 AI 時代のデータ エンジニアリングとは 〜参加レポート


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こんにちは!えいきちです。
 

2025年5月28日に開催された「Data & AI Summit '25 Spring」に参加してきました。
本イベントはオンラインとオフラインのハイブリッド形式で開催され、私はせっかくの機会ということで、渋谷ストリームにあるGoogleオフィスでのオフライン参加を選びました。
今回は、その中でも印象に残ったセッションの概要の紹介と参加して感じたことをご紹介します。

Data & AI Summit '25 Springとは?

Google Cloudが主催する生成AIとデータ基盤の活用によるビジネス変革をテーマとしたイベントです。

BigQueryやLookerを活用し、最適なデータ基盤の構築と業務効率化を通じて、顧客体験の革新と持続的なビジネス成長を支援することを目的としています。 

Data & AI Summit ’25 Spring

 

印象に残ったセッション内容の概要 (1)Opening Session

Opening Session:生成AIはデータドリブン経営の救世主か?~Google Cloudが考えるData AI、ビジネスプロセスの融合

【導入】

・データ活用の本質は変わらない

・意思決定支援や業務改革を目的に、多くの企業が取り組むも進展しない理由は以下の2点:

① 単なるITツールという道具の話ではない

② 「民主化」の幻想(ツール配布だけでは進まない)

・生成AIの二面性 :正しく使えばデータドリブン経営を加速、誤れば遅れを助長。

・カギは「データ基盤」 :各社固有の業務改革を実現する最大のイネブラーが新しいデータ基盤

・生成AI活用はまだ個人の効率化レベルに留まっている

・組織全体の変革には基盤整備が不可欠

 

【次世代のデータ基盤に求められる3要件】

① Real-time(リアルタイム性) 

・不確実な時代では、計画や予測が形式化し、最新データに基づく即時判断が重要

・現場の鮮度あるデータが意思決定の質を左右する

 

② Multimodal(マルチモーダル対応)  

・企業データの80%以上が非構造化

・対話履歴・画像・文書などをAIで統合・解析し、実用的な業務改革へ

 

③ Agentic(エージェント的) 

 ・データエージェントが自然言語での指示に応じ、データの収集・整形・分析・予測を自動で実行

・コードに即時反映され、意思決定者がその場で分析可能

・粒度の高い分析で、より適切な対策が打てる

 

実例:キャッシュフロー悪化の要因分析デモ

・異なるデータソースの統合

・Geminiによる非構造データ処理

・新プロモーション施策の影響を特定し、施策対象の絞り込みへ

 

統合コンセプト:「データ」「AI」「業務プロセス」の融合=データエージェント 

・ユーザーが自然言語でAIに指示

・専門スキル不要で、誰でも迅速な分析と意思決定が可能に

 

【まとめ:生成AIが統合された新しいデータ基盤の世界】

・経営者や業務ユーザーがデータに直接アクセスし、意思決定できる未来

・業務改革と意思決定のサイクルを飛躍的に高速化可能

 

印象に残ったセッション内容の概要 (2)生成AIが拓くデータ活用の新境地

生成AIが拓くデータ活用の新境地:Google Cloudの「データエージェント」とは? 

【データ活用の現状と課題】

・データを価値に変えることの重要性は変わらない

・手作業・属人化・サイロ化による非効率が課題

・「データの民主化」が進まず、非専門家が活用しにくい現状

・上記課題に対してGoogle Cloudの提案するビジョン:「Autonomous Data and AI Platform

・「Autonomous:自律」は①誰でも使える「自律的ユーザー体験」、②自己最適化する「自律的プラットフォーム」の2つの自律を意味する

 

【データエージェントとは?】

前提:AIエージェントの構成要素

Model(脳):大規模言語モデル(LLM)

Tools(手):外部APIやDBにアクセスする機能

Orchestration(全体のコーディネーター):モデルに指示を与えるコーディネーション機能

 

【Google Cloudが提供するData Agent Familyとして4つのData Agentを紹介】※ロードマップのため現時点ですべてが利用できるわけではない

①Data Engineering Agent:GCS→BigQueryへのデータ取込など、パイプライン構築を自動化

主な機能:

BigQuery Data Preparation:GUIベースの前処理

BigQuery Pipeline:ノーコードでETL作成(旧BigQuery Workflows)

 

②Data Governance Agent:信頼できる唯一の情報源を構築し、ガバナンス強化 

主な機能:

Automated metadata curation:テーブル・カラムの説明文をAIが自動作成

自動異常検知:nullやユニーク違反の変化を検出

 

③Data Science Agent:ノートブック上でモデル構築を支援

使用例:「Aテーブルのデータを使って、エンジンにはスパークを使って、将来の売り上げ予測をしてください。モデルにはTimesFMを利用してください。」と自然言語で指示をだすと、それをするためのPythonのコードのテンプレートをエージェントが作成してくれる。

 

④Conversational Analytics Agent:自然言語でのデータ分析が可能

・Looker Studio Proで現在試用可能、API提供も予定(プライベートプレビュー)

・壁打ち的な対話も可能(例:「売上を上げるには?」)

・BigQuery Knowledge Engine によるER図生成機能(今後リリース予定)

→生成AIがデータ分析を行う上での課題であるテーブル間の関係性を生成AIが可視化できるようになる

 

★今後、独自エージェント開発の要望も高まると予想される(MCP+ADKを活用推奨)

※MCP Toolbox for DatabasesによりGoogle Cloud製品と簡単接続可能

※ADKはAgent Development Kitの略でGoogle Cloudが提供するエージェント開発のためのサービスです

 

 【まとめ】

・各工程(変換・予測・分析・ガバナンス)をData Agentが担うことで、データの民主化はある程度進み、意思決定のスピードはあがる

・Google CloudはData Agentの開発を全力で推進している

感想

イベント全体を通して、特に印象に残ったのは「世界の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」というミッションに基づく、データの民主化の本気度です。単なるスローガンにとどまらず、実際の製品やアーキテクチャにもその考え方がしっかりと反映されており、本気でデータの民主化に進んでいるのだと感じました。

セッション内では多くのデモが紹介され、ノーコードで高度な分析が実行されている様子やパイプラインが作成されている様子から、「誰でも使える分析基盤」がいよいよ実現に近づいていると感じ、非常に刺激を受けました。

一方で、データエンジニア/データアナリストとしては、単にデータパイプラインを作れる、BIツールを使いこなせる、といったスキルセットだけでは、AIエージェントに取って代わられてしまう時代が到来しつつあるとも感じました。
これからは、AIが生成するコードのレビュー能力適切なプロンプト設計力ビジネス理解に基づいた意思決定力など、より高度で本質的なスキルが求められていくと強く感じています。

今回のイベントは、これから求められるスキルについて考え直す良い機会にもなりました。今後もこうした技術の進化をキャッチアップしながら、ビジネスに価値を届けられるデータ活用のあり方を追求していきたいと思います。

イベントの動画や資料は公式のページから確認することができます。ご興味のある方はぜひご視聴されてはいかがでしょうか。

Data & AI Summit ’25 Spring

 

2025年6月9日 Google Cloud Data & AI Summit ’25 Spring〜 生成 AI 時代のデータ エンジニアリングとは 〜参加レポート

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