2025年12月25日 Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた Agent Development Kit Google Cloud 生成AI(Generative AI) 検索する Popular tags 生成AI(Generative AI) Vertex AI Search Looker Studio BigQuery AlloyDB Google Workspace 事例紹介 Cloud SQL Category Google Cloud Author りなぺん SHARE 目次 フレームワークの概要 アーキテクチャと思想の比較 実装スタイルの違い ユースケース別 結論 Content こんにちは。りなぺんです。 生成AIの活用が「チャットボット」から、タスクを自律的に実行する「エージェント」へとシフトする中、Google CloudとAmazon Web Services(以下、AWSと記載)からそれぞれ開発フレームワークが登場しています。 Google Cloudの 「Agent Development Kit (ADK)」 と、AWSの 「Strands Agents」 です。 両者はどちらもエージェント開発を支援するツールですが、アーキテクチャや想定されるユースケースには異なる特徴があります。 本記事では、これら2つの違いについて記載していきます。 フレームワークの概要 各フレームワークの概要についてお伝えします。 Agent Development Kit(Google Cloud) Strands Agents(AWS) 概要: Gemini時代のマルチエージェントシステムを構築するために設計された、Google Cloud公式のフレームワーク 概要: AWSが2025年に公開したオープンソースのエージェント構築SDK 「Model-first(モデル駆動)」を掲げ、極めてシンプルなコードでエージェントを記述できる 特徴: Googleシステム(BigQuery、Google Workspace等)との深い統合が前提となっており、エンタープライズレベルのセキュリティとスケーラビリティを重視 特徴: MCPへのネイティブ対応が最大の特徴 AWS Bedrockでの利用が中心だが、設計自体はモデル非依存(Model Agnostic)であり、ローカルLLMや他社モデルでも動作する フレームワークの詳細は公式ドキュメントをご確認ください。 Google ADK公式ドキュメント Strands Agents公式ドキュメント アーキテクチャと思想の比較 「エージェントを作る」という目的は同じですが、アプローチは対照的です。 比較軸 Agent Development Kit(Google Cloud) Strands Agents(AWS) 開発思想 統合型・構造重視 「エージェント=組織のワークフロー」と捉え、役割分担や権限管理を厳密に定義するスタイル モデル駆動・シンプル重視 「エージェント=モデル+ツール」と捉え、LLMの推論能力を信頼してコード記述量を減らすスタイル ツール連携 Google システム特化 BigQuery、Google Drive等のAPIを安全かつ簡単に呼び出せるコネクタが豊富 MCP 業界標準のMCPサーバを利用し、Slack・GitHub等の外部ツールと連携 モデル Gemini最適化(他モデルも可) Geminiが基本だが、設計はモデル非依存 LiteLLM等を介してOpenAI等の利用もサポート モデル非依存 Bedrockが基本だが、OpenAIやOllama(ローカル)への切り替えも容易 実装スタイルの違い 実際に動かしてみたいと思います。 共通設定 必要なモジュールをダウンロードします。 python -m pip install strands-agents google-adk APIキーを設定します。 $env:GOOGLE_API_KEY='<キー>' これで事前準備は完了です。 AWS Strands Agentsの場合 import os from strands import Agent, tool from strands.models.gemini import GeminiModel @tool def check_weather(city: str) -> str: """都市の天気を取得する(デモ用に固定値を返す)""" return f"{city} is Sunny, 25°C" # Geminiモデルを指定してエージェントを作成 agent = Agent( model=GeminiModel( model_id="gemini-2.5-flash", params={}, client_args={"api_key": os.environ["GOOGLE_API_KEY"]}, ), tools=[check_weather], ) # 実行 result = agent("東京の天気は? 必ず check_weather ツールを使って答えて。") Google Cloud ADKの場合 import asyncio from google.adk import Agent from google.adk.runners import InMemoryRunner from google.adk.tools.function_tool import FunctionTool from google.genai import types def check_weather(city: str) -> str: """都市の天気を取得する(デモ用に固定値を返す)""" return f"{city} is Sunny, 25°C" async def main() -> None: agent = Agent( name="WeatherBot", model="gemini-2.5-flash", instruction="You are a weather bot. Use check_weather when asked about the weather.", tools=[FunctionTool(check_weather)], ) runner = InMemoryRunner(agent) session = await runner.session_service.create_session( app_name=runner.app_name, user_id="demo_user" ) message = types.Content( role="user", parts=[types.Part(text="東京の天気は? 必ず check_weather ツールを使って答えて。")], ) for event in runner.run( user_id=session.user_id, session_id=session.id, new_message=message ): if event.content and event.content.parts: text = "".join(part.text or "" for part in event.content.parts) if text: print(f"[{event.author}] {text}") await runner.close() if __name__ == "__main__": asyncio.run(main()) コードを動かしてみた感触としては、 Strands Agents は、エージェントのループ処理やエラーハンドリングがSDK内部に隠蔽されているため、開発者は「ロジック」に集中できます。 対して、Google ADKは記述量が多いですが、Session や Runner、 types が明示されております。「誰が」「どのセッションで」「どういう型で」会話しているかを厳密に管理できます。 ユースケース別 それぞれ、選ぶべきケースについて考えてみました。 Google ADK を選ぶケース Google Workspace 連携をしたい! 「Gmail の内容を要約してカレンダーに登録据える」といった業務フローなど Google Cloud 上でデータ分析をしたい! BigQuery 上のデータをGeminiに分析させたい場合、ADKの親和性は圧倒的 AWS Strands Agents を選ぶケース SaaS連携を広げたい! MCP対応のツール(Notion、GitHub、Slackなど)を即時に組み込みたい場合 AWS基盤を活用したい! LambdaやFargateでサーバレスにエージェントを動かしたい場合 結論 本記事では、エージェント開発フレームワークである、Google Cloud の「Agent Deployment Kit」と、AWSの「Strands Agents」を比較しました。 両者は「自律型エージェントの構築」という目的を共有しつつも、その設計思想と適用領域において明確な差異がありました。 Agent Development Kit(Google Cloud) Google Cloudエコシステム(BigQuery, Google Workspace, Cloud Run等)との深い統合とセキュリティを最優先する設計です。 LiteLLMを経由した他社モデルの利用も可能ですが、基本的にはGoogle基盤上での大規模なワークフロー構築や、厳密な状態管理が求められるエンタープライズ開発に適しています。 Strands Agents(AWS) MCP へのネイティブ対応と、「Model-first」による実装の簡潔さを重視した設計。 AWS Bedrockをはじめとする多様なモデルと、MCP対応ツールを標準規格で接続できるため、ツール拡張性と開発スピードを重視するプロジェクトに適しています。 どちらを採用するか検討する際は、以下の2点が主な判断基準になりそうです。 分析対象や連携データが Google Cloud に集中している場合は ADK の機能が活きやすく、AWS環境あるいは特定のクラウドに依存しない構成を重視する場合はStrands Agentsの設計がフィットする可能性がありそうです。 プラットフォーム固有の機能を深く活用したいか、あるいは業界標準規格であるMCP(Model Context Protocol)によるエコシステム活用を優先したいか、という点も、フレームワークを選定する上での一つの分かれ目と言えるでしょう。 プロジェクトの技術要件と既存のインフラ環境を照らし合わせ、最適なフレームワークを選択してください。 関連コンテンツ ADKの組み込みツールを使ってPythonコードを生成・実行できるエージェントを作ってみた by Teraon 2025年11月12日 頂きましたご意見につきましては、今後のより良い商品開発・サービス改善に活かしていきたいと考えております。 よくわかった ADKもっと知りたい Strands Agentsもっと知りたい Author りなぺん BI事業部 2023年中途入社。好きな分野はインフラ、ネットワーク。すみっコぐらしに囲まれて生活してます。 Agent Development Kit Google Cloud 生成AI(Generative AI) 2025年12月25日 Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた Category Google Cloud 前の記事を読む 【Google Cloud】BigQuery Data Engineering Agent使ってみた!~AIで進化するデータパイプライン開発~ Recommendation オススメ記事 2023年9月5日 Google Cloud 【Google Cloud】Looker Studio × Looker Studio Pro × Looker を徹底比較!機能・選び方を解説 2023年8月24日 Google Cloud 【Google Cloud】Migrate for Anthos and GKEでVMを移行してみた(1:概要編) 2022年10月10日 Google Cloud 【Google Cloud】AlloyDB と Cloud SQL を徹底比較してみた!!(第1回:AlloyDB の概要、性能検証編) BigQuery ML ワークショップ開催のお知らせ 生成AI導入支援パッケージ Discovery AI導入支援パッケージ Google Cloud ホワイトペーパー 新着記事 2025年12月25日 Google Cloud Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた 2025年12月24日 Google Cloud 【Google Cloud】BigQuery Data Engineering Agent使ってみた!~AIで進化するデータパイプライン開発~ 2025年12月22日 モバイル KMPとCMPでモバイルアプリを作ってみた HOME Google Cloud Google ADK と AWS Strands Agentsを比較してみた