2025年8月21日

ECサイトの商品画像編集をAIで効率化!Google Imagen活用ガイド


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ECサイトの商品画像、「もっとこうだったら…」と思ったことはありませんか?「背景だけ変えたい」「この写り込みさえなければ完璧なのに…」。こうした少しの修正のために、時間とコストのかかる再撮影や、複雑なレタッチ作業が発生するのは大きな悩みです。

そんなお悩みを解決するのが、**お手元の商品画像を手軽に、かつ高品質に編集できるGoogleのAIモデル「Imagen」**です。

この記事では、ECサイトの担当者様向けに、Imagenが持つ強力な画像編集機能と、それがビジネスの現場でどのように役立つのかを具体例と共に徹底解説します。この記事を読めば、専門的なデザインスキルがなくても簡単に今ある商品画像の価値を最大限に引き出す方法がわかります。

Imagenとは

Imagenは、Googleが開発したテキストから画像を生成するAIモデルです。
最大の特徴は、入力されたテキスト(プロンプト)を驚くほど正確に理解し、高品質かつ写実的な画像を生成できる点にあります。

Imagenでできること

  • テキスト プロンプトから新しい画像を生成(テキスト→画像のAI生成)。
  • アップロードまたは生成した画像全体を編集(要素の追加・削除)。
  • 既存・生成・編集済み画像のアップスケール(解像度向上)。
  • 特定の対象(例:特定のハンドバッグや靴)でAIモデルを追加学習させ、画像生成。

今回は商品の構図をImagenに考えさせるユースケースとして、
Google公式のプロンプトガイドに沿い、狙い通りの構図を作るためのプロンプトをご紹介します。

なぜ「AIによる画像編集」が重要なのか?

従来の画像編集とImagenによる解決法

従来の画像編集は、専門的なスキルを持つデザイナーや、高価なソフトウェアが必要でした。
しかし、AIの登場により、その常識は変わります。例えば下記のような事例はないでしょうか。

課題

コーディネート画像に不用意なものが映りこんでいた。

従来の方法

再度撮影を行うか、専門家が時間をかけて合成・レタッチを行う。
→ 高コスト、長時間

Imagenによる方法

元の商品画像をアップロードし、指定した場所を選択して消去する。
→ 低コスト、短時間

このように、AIによる画像編集は、これまで撮影や画像修正に費やされていた
時間とコストを劇的に削減し、
ECの担当者がより創造的で戦略的な業務に集中できる環境を生み出します。

Imagen画像編集の基本機能

Imagenの画像編集機能は、大きく分けて
「マスクベース編集」
「マスクフリー編集」の二つのアプローチに基づいています。
(2025年8月時点)

機能 (Feature) 主な用途 (Primary Use Case) ECサイトでの活用例 (E-commerce Example)
インペインティング(挿入) 画像内の空間を指定し、テキスト指示に基づいて新しいオブジェクトを自然に追加する。 商品の横に、世界観を演出する小物(花やグラス、関連商品など)を追加する。
インペインティング(除去) 画像内にある不要なオブジェクトを指定し、周囲の背景と馴染ませながら自然に消去する。 撮影時に映り込んだ機材の影や、商品の値札、わずかな汚れなどをきれいに消去する。
アウトペインティング 元の画像の雰囲気を保ったまま、キャンバスを外側へ自然に拡張する。 正方形のSNS用画像を、Webサイトのワイドなメインバナーや縦長のストーリー広告用に変換する。
マスクフリー編集 領域を指定せず、テキスト指示のみで画像全体のスタイルや雰囲気を一括で変更する。 通常の商品写真を、特別なキャンペーン用に「水彩画風」や「スケッチ風」などのアートワークに加工する。
プロダクト背景生成 AIが商品を自動認識し、ECサイト向けに最適化された高品質な背景を合成する。 倉庫などで撮影した白背景の商品を、ターゲット層が好むライフスタイル空間に瞬時に配置する。

それでは、Google Cloud上のImagenで実現できる
マスクベース編集マスクフリー編集について詳しく見ていきましょう。

マスクを使った編集について

マスクを使った編集(要素の追加・削除)

マスクを使った編集機能は、主に画像への要素追加要素削除で活用します。
具体的な操作は

Google Cloudドキュメント「定義されたマスク領域で挿入する」

をご参照ください。

画面イメージ

アクセス後に表示される編集画面(例)

ここでは、女性モデルが着用しているブレスレットを画像から削除するケースを例に解説します。

手順(3ステップ)

  1. Brush を選択する
  2. 削除したい ブレスレット塗りつぶし(マスク指定)
  3. Inpaint (Remove) を選択して削除を実行

※ プロンプトは「マスクしたブレスレットを削除して」などのシンプルな指示で構いません。

マスク(塗りつぶし)の指定例

上記のマスクを適用したうえで、編集前と編集後を比較してみます。

修正前の画像

修正後の画像(ブレスレットが自然に削除)

右手に着用していたブレスレットが自然に消去されました。
部分的な要素の追加/削除マスク指定で行い、画像全体の雰囲気変更(色味・スタイルの一括変更など)は
マスクを使わない編集(マスクフリー編集)を利用します。

マスクを使わない編集について

マスクを使わない編集(Outpaint / Mask-Free Editing / ProductBackground)

マスクを使わない編集は Outpaint(画像拡大)Mask-Free Editing(全体スタイル変更)ProductBackground(商品背景の変更) で活用します。
※ ProductBackground はマスク指定も可能ですが、指定しなくても自然な背景合成が行えます。

使い方

  1. Google Cloud のコンソールにアクセス
  2. プロンプト欄に編集したい内容(背景変更・拡張・トーン調整など)を入力
  3. 生成 → プレビューから採用(必要に応じて再生成・微調整)
コンソール上でのマスクフリー編集プロンプト入力画面
コンソールの編集画面例(プロンプト入力)

生成結果(例)

背景が変更された生成結果の例
背景が変更されました。

まとめ

本記事では、GoogleのAI「Imagen」を活用した最新の画像編集術をご紹介しました。
マスクを使った不要物の除去や、プロンプトによる背景変更といった高度な編集を、誰でも直感的に行えるのが大きな特徴です。

従来は撮影や専門的なレタッチに多くの時間とコストを割かなければならなかった作業が、Imagenによってシンプルかつ効率的に解決できます。
この圧倒的な効率化は、EC担当者を煩雑な制作プロセスから解放し、より 創造的で戦略的なビジュアルマーチャンダイジング を実現する大きな力となるでしょう。

2025年8月21日 ECサイトの商品画像編集をAIで効率化!Google Imagen活用ガイド

Category Google Cloud

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