2026年11月2日 【Looker】ダッシュボードエージェントの回答を検証 Gemini Google Cloud Looker 検索する Popular tags 事例紹介 GEN-STEP 生成AI(Generative AI) Vertex AI Search Looker Studio BigQuery AlloyDB Google Workspace Cloud SQL Category Google Cloud Author su SHARE Content こんにちは!suです。 最近 GA(一般提供)になった Looker の「ダッシュボードエージェント」を使ったことはありますか? ダッシュボードを開いたまま自然な言葉で質問できる、Gemini in Looker の機能です。 プレビュー版はそれ以前から提供されていました。 便利な反面、回答が正しいかどうかは使う人が判断します。 私は今後、この機能の利用サポートを担当する予定です。 経営層や店舗スタッフなど IT に詳しくない利用者から「この数字、合っているの?」と聞かれる場面を想像しました。 そこで今回は、答えを知っている質問を投げて回答が合っているかを確かめた結果を紹介します。 題材は前回のブログ「Claude Design でデザインしたダッシュボードを、Claude Code で実装してみた」で作った架空の売上分析ダッシュボード(NORTHFIELD)です。 データはすべてダミーで、実際の案件のデータは使っていません。 サポート担当の目線で、利用者から来そうな問い合わせごとに起きたことと確認する場所をまとめます。 先に結論 回答の数字はずれることがあります。合計や前年比で毎回違う値が出た質問がありました。 ずれたときは思考モードで、どのタイルのどの行を読んだかを見ると確認できます。 指示の欄に書くと間違いが減りました。ただ、案内も減るので効果を見ながら決める必要があります。 ダッシュボードエージェントでは、タイルを足せませんでした。頼んでもダッシュボードには書き込まず、どの項目を使うかを教えてくれました。 ※検証した環境は Looker (original) のバージョン 26.20.4 です。 目次 ▼質問するたびに答え方も待ち時間もバラバラ ▼同じ質問なのに数字が毎回違う ▼エージェントの答え方をサポート側で変えられる? ▼ダッシュボードにタイルを増やしてほしい ▼回答の下の「Workflows」って何? ▼まとめ 質問するたびに答え方も待ち時間もバラバラ 利用者からこんな問い合わせが来そうです。 質問するたびに、返ってくるまでの時間も、答え方もバラバラです。 結論から言うと、答え方は質問によって、エージェントが 2 通りを使い分けていました。 待ち時間も質問によって違い、同じ質問でも毎回ばらつきました。 ダッシュボードエージェントに指示を何も足していない状態で、10 問を試した結果をまとめます。 エージェントの答え方は 2 通りある 質問によって、エージェントの答え方は 2 通りに分かれました。 タイルのデータを読んで答える:「売上高の合計は?」のような質問。ダッシュボードのタイルに出ている値を読みます。新しくクエリを作らず、タイルのクエリを使うので、ダッシュボードの数字とそのまま一致します 自分で Looker のクエリを作って答える:ダッシュボードのタイルにない切り口の質問。「関西」や「自社サイト」のような言葉は、フィールドの値と照らし合わせて対応する値を探します どちらで答えたかは、回答の下の「思考モードを表示」(①)を開くと分かります。 タイルの値を読んだときは、クエリ結果の見出しに「Dashboard Tile」に続けてタイルの名前(T1 KPIストリップなど)が出ていました。 自分でクエリを作ったときは、「Overall Avg Order Value」のようにタイルの名前がない見出しでした。 利用者から見ると、「さっきはダッシュボードの数字だったのに、今回は違う数字が出た」という印象を受けます。 思考モードではタイルの名前を見て対象のタイルを選び、2 通りの計算で確かめてから回答していました。 待ち時間は 1 分ほどが目安 10 問の待ち時間をまとめました。 「最初の planning」は、デバッグ情報の「プレビュー」タブで一番上に出る秒数です。 合計 最初の planning 最小値 29.0 秒 8.4 秒 最大値 61.1 秒 29.6 秒 中央値 約 45 秒 23.0 秒 平均値 約 46 秒 22.8 秒 合計は最小と最大で 2 倍ほど違いました。 内訳を見ると、最初の planning が合計の半分ほどを占めていました。 一方、Looker のクエリは主因ではありませんでした。 管理者画面のクエリ履歴で見ると、API 経由のクエリの実行時間は 1 秒ほどです。 同じ質問でもばらつきました。 利益率の質問を新しい会話で 3 回聞いたときの planning は、23.7 秒、11.2 秒、31.8 秒でした。 今回の 10 問では長くても 1 分ほどで返りました。 ただ、毎回ばらつくので「何秒で返ります」と約束はできません。 目安として「1 分ほどです」と案内するとよさそうです。 サポート側で確認する場所 確認したいこと 見る場所 どのタイルを読んだか、どんなクエリを作ったか 回答の下の「思考モードを表示」 どのステップで時間がかかったか デバッグ情報(虫アイコン)の「プレビュー」タブの秒数 Looker のクエリが遅いのか 管理者画面の、クエリ履歴 思考プロセスとデバッグ情報を見るには、エージェントの設定画面で次の 2 つのトグルをオンにする必要があります。 私の検証環境ではどちらもオンでした。 オフの環境では、利用者には見えません。 そのため、導入のときにオンにするかを決める必要があります。 同じ質問なのに数字が毎回違う 利用者からこんな問い合わせも来そうです。 同じ質問をしたのに、前回と数字が違います。どちらが正しいのですか? 結論から言うと、合計や前年比はずれることがありました。 ここではずれ方を 2 つに分けて紹介します。 足し算が毎回少しずつずれる 「今期の売上は?」と聞くと、売上の合計は毎回正しく答えました(28,101,700 円)。 ずれたのは、聞いていないのに付いてくる総注文数です。 正しい値は 4,021 件です。 設定 回答した総注文数(1 回目〜) 高度な分析:オフ(4 回) 4,018 / 4,021 / 4,021 / 4,121 高度な分析:オン(3 回) 4,022 / 3,982 / 4,121 オフの 4 回では 2 回ずれました。 オンにしても 3 回ともずれました。 また、ずれる値は毎回違い、4,121 だけがオフとオンで 1 回ずつ出ました。 原因を調べると、エージェントが受け取ったタイルのデータの合計は 4,021 でした。 合計を出す計算のコードもありませんでした。 回答の文章を書くときにエージェントが自分で足した値だったようです。 「高度な分析を有効にする」をオンにすれば直ると考えたくなります。 しかし、私の環境では直りませんでした。 オンでも、Python の分析が動いたのは 3 回のうち 1 回だけでした。 動いたコードはグラフを作るためのもので、合計を出すものではありませんでした。 前年比が毎回違う 「去年と比べてどう?」は経営層からよく聞かれそうな質問です。 正解は前年 27,491,700 円から今期 28,101,700 円で、+2.2% でした。 指示を入れていないエージェントで同じ質問を 3 回聞くと、毎回結果が違いました。 回 回答 判定 1 前年比の数値が出ない。今期の総売上は 28,101,600(正しくは 28,101,700) 部分的 2 今期 27,901,700、前年 27,491,500、+1.5%。「季節需要をしっかり捉え」と解釈 不正解 3 前年と今期の数値が並び、+2.2% 正解 なかでも、2 回目がいちばん厄介です。 数字が違うのに自信のある言い方で、解釈まで付いていました。 エージェントは前年の月別データを含むタイルを使って、前年比に答えようとしていました。 つまり、ダッシュボードの作りが答えられる範囲を決めています。 サポート側で確認する場所 画面の数字と回答が合わないときは、エージェントの間違いだと思いやすくなります。 先に思考モードで、どのタイルのどの行を読んだかを確かめます。 起きたこと 確認する場所 総注文数などの、付随する数字がずれた 思考モードで、受け取ったタイルの表の合計と、回答の数字を見比べる 前年比が毎回違う 思考モードで、タイルの値から自分で足したのか、クエリの結果を写したのかを見る 聞いていない数字や解釈が付いてきたときは、そこも合っているかを確かめます。 今回ずれた総注文数は聞いていない数字でした。 ずれを減らす対処は次の章で紹介します。 エージェントの設定画面にある「指示」の欄を使う方法です。 エージェントの答え方をサポート側で変えられる? 利用者からこんな相談を受けることもありそうです。 聞いたことだけに答えてほしい。数字も、ちゃんと合わせてほしい。 答え方を変える方法として、エージェントの「指示」の欄に書く方法を試しました。 指示に取得の手順を書く まず、「指示」の欄に次の 1 行を書きました。 高度な分析はオフのまま試しました。 「売上や注文数の合計は、月別などのデータを自分で足し算せず、合計値を Looker のクエリで直接取得して答えてください。」 試した結果は次のとおりです。 「今期の売上は?」を 3 回:3 回とも合計のクエリを直接実行して、28,101,700 円を 1 行で回答 聞いていない注文数やグラフは付かなくなった 前の章で総注文数がずれた質問です。 聞いていない数字が付かなくなったので、ずれは確認できませんでした。 注文件数も聞いた質問(「今期の売上と注文件数は?」)も試しました。 指示ありと指示なしを 3 回ずつ比べると、どちらも 3 回とも正解でした。 ただ、違いが出たのは取得の手順です。 取得の手順 合計時間 指示あり 合計のクエリを 1 本で取得 16.6〜21.4 秒 指示なし 月別データを、エージェントが足す 24.9〜58.0 秒 指示ありでは取得の手順が合計のクエリに変わり、合計時間も短くなりました。 必要な情報だけを効率よく取得できたためのようです。 ただ、指示がなくても正解の回がありました。 指示を増やすと間違いは減るが、案内も減る 次に指示を 5 行に増やしました。 先ほどの 1 行に次の 4 つを足したものです。 聞かれたことだけに答える 裏付けのない解釈は書かない 内部のフィールド名は使わず、日本語で書く データがない場合は、「0 件」ではなく、「データがない」と答える 4 つの質問を新しい会話で 1 回ずつ聞きました。 どれもねらいの点は直りました。 質問 指示なし 5 行の指示あり 自社サイトとモールの比較 「まとめ買いに強み」などの解釈と、聞いていない数字が付いた 売上と注文数の 2 点だけ 今月の注文は何件? 「0 件(データが存在しません)」と、直近 3 か月の件数 「その期間のデータはありません」 利益率は? 内部の項目名(orders.total_sales など)が出た 「利益率に関するデータはありません」の 1 行 去年と比べてどう? 数値なし、総売上がずれた 前年と今期の数値が並んだ(+2.2% は書かれず) たとえば、前年比ではクエリ 1 本で、前年と今期をまとめて取得しました。 結果の表の値を書き写していて、自分で足してはいませんでした。 このように、同じ質問でも指示の有無で取得の方法が変わりました。 聞かれたことだけに答える形になり、代わりに答えられることの案内が付かなくなりました。 そのため、次に何を聞けばよいか分からなくなるかもしれません。 そのときは、次にできる分析も提案するよう指示に入れるか、他にどんなことが見られるかを直接チャットで聞くとよさそうです。 サポート側で確認する場所 確認したいこと 見る場所 指示が、エージェントに入っているか エージェントを管理する画面の「指示」の欄 ダッシュボードにタイルを増やしてほしい 利用者からこんな依頼も来そうです。 地域別の売上のグラフも、ダッシュボードに足してください。 エージェントに頼めばタイルを増やしてくれそうに見えます。 実際に頼んだ結果を紹介します。 エージェントに「タイルとして追加して」と頼むと、設計を文章で返す エージェントに「地域別の売上の月別推移を、このダッシュボードのタイルとして追加して」と頼みました。 その結果、エージェントは地域別の月次売上推移のグラフを作り、「タイル設定構成」を文章で並べました。 ディメンション、メジャー、フィルタ、並び替え、折れ線グラフという内容です。 ただ、ダッシュボードには何も書き込まれませんでした。 確定のボタンや保存先の確認は出なかった 再読み込みしたダッシュボードに新しいタイルは増えていなかった 思考モードの手順は、クエリの実行、グラフの作成、回答。ダッシュボードを編集する手順はなかった 今回試した範囲では、ダッシュボードエージェントでタイルを足すことはできませんでした。 ただ、どのディメンションやメジャーを使うかは教えてくれます。 その内容に沿って、タイルは人が作ります。 回答の下の「Workflows」って何? エージェントの回答の下には、👍 👎 のアイコンと並んで Workflows のアイコンがあります(最初の章の画像の②です)。 利用者からこんな質問が来そうです。 この Workflows のアイコンは、何ですか? Workflows とは Looker のリリースノートでは、2026 年 10 月 9 日の項目で、自然な言葉でメールや Slack への定期配信を設定できるワークフローが Preview として紹介されています。 私の環境でも Preview の機能として表示されていました。 Workflows を作る:毎日 13 時に送る 「毎日 13 時に、全期間の売上の合計を送って」と頼みました。 エージェントはドラフトを出しました。 トリガー(Trigger):毎日 13:00 ディレクティブ(Directives):全期間の売上の合計を取得する、取得した売上合計を送信する 宛先(Destination):Email(登録したメールアドレスが既定で入る) 最後にこの内容でよいかの確認が出ます。 返事をするまでは作成されません。 「はい」とだけ返すと作成されました。 保存された設定は管理画面で確認できる 作成したあと「ワークフローの管理」の画面を開きました。 繰り返しは「毎日」、時間は「13:00」でドラフトと一致していました。 実行されると、メールが届く 13 時に PDF が添付されたメールが届きました。 PDF の売上合計は、55,593,400 円です。 前年と今期の合計(27,491,700 円と 28,101,700 円)の和と一致しました。 PDF のファイル名の時刻は、13:01 でした。 宛先は管理画面で変えられます。 登録済みのアドレスのほかに別のメールアドレスを足して保存すると、両方にメールが届きました。 宛先には Slack の選択肢もあります。 また、作成が終わると会話の回答に「Workflow URL」が出ます。 リンクを押すとワークフローの管理画面に移れます。 サポート側で確認する場所 確認したいこと 見る場所 ワークフローの頻度 「ワークフローの管理」の一覧の「頻度」の列 誰にメールが届くか 「ワークフローの管理」の「宛先」(登録済みのアドレス以外も足せる) ワークフローを止めたい 「ワークフローの管理」の行のメニューから、削除または編集 まとめ 合計や前年比はずれることがある。思考モードで読んだ表を確かめる 指示を入れると間違いは減るが、案内も減る ダッシュボードエージェントでは、タイルを足せなかった。使う項目は教えてくれるので、その内容に沿って人が作る 答え方は質問によって変わる。待ち時間は 1 分ほどが目安で、約束はできない Workflows は頻度と宛先を管理画面で確認できる 今後も Looker に関する検証を続けて、ブログで紹介していきます。 関連コンテンツ 【Looker】Claude Design でデザインしたダッシュボードを、Claude Codeで実装してみた by suon 2026年10月29日 システムサポートでは、Google Cloudの導入や活用を支援しております。 Google Cloudを導入したい・導入したけど使いこなせていない…という方は、お気軽にご相談ください! Google Cloud 導入・活動支援に関するご相談はこちら 頂きましたご意見につきましては、今後のより良い商品開発・サービス改善に活かしていきたいと考えております。 ありがとう よくわかった 興味がある 面白かった よくわからない もっと知りたい 使ってみたい Looker大好き Author su 2026年4月に新卒入社、数学科卒の新人エンジニアです。 趣味はコントラバスと編み物でものすごいインドアです。 Gemini Google Cloud Looker 2026年11月2日 【Looker】ダッシュボードエージェントの回答を検証 Category Google Cloud 前の記事を読む 【Looker】Claude Design でデザインしたダッシュボードを、Claude Codeで実装してみた Recommendation オススメ記事 2023年9月5日 Google Cloud 【Google Cloud】Looker Studio × Looker Studio Pro × Looker を徹底比較!機能・選び方を解説 2023年8月24日 Google Cloud 【Google Cloud】Migrate for Anthos and GKEでVMを移行してみた(1:概要編) 2022年10月10日 Google Cloud 【Google Cloud】AlloyDB と Cloud SQL を徹底比較してみた!!(第1回:AlloyDB の概要、性能検証編) GEN-STEP Gemini Enterprise 導入パッケージ 生成AI導入支援サービス Google Cloud 資料ダウンロード 新着記事 2026年11月2日 Google Cloud 【Looker】ダッシュボードエージェントの回答を検証 2026年10月29日 Google Cloud 【Looker】Claude Design でデザインしたダッシュボードを、Claude Codeで実装してみた 2026年10月22日 お知らせ 【お知らせ】システムメンテナンス終了とサービス再開のご案内 HOME Google Cloud 【Looker】ダッシュボードエージェントの回答を検証